なんとかなる精神がすごい街、淡路島

筆者がお酒をまだ飲めなかった10代の頃から通っており、淡路島の賑わいや交流を支えてきた「立ち呑み淡路島ブルース」の店主に、淡路島のあれこれについて話を伺ってみました。

 

 

話を聞いた人:植田弦さん

1989年12月23日生まれ。淡路島の飲食店で働いていた両親の背中を見て育つ。22歳の時、現在のお店の建物が空き家になっていることをきっかけに「立ち呑み淡路島ブルース」の立ち上げを決意。今年でお店は10年目を迎える。

 

「『立ち呑み淡路島ブルース』が出来た10年前って、淡路島に立ち呑みの文化がほとんどなかったよね。当時の島の人の反応ってどうだった?」

「最初から常連に『こういう提供あかんよ』や『もっと愛想よくしたほうがいい』ってお店のあり方についてボコスカ叩き込まれたなあ(笑)」

「えー! そうだったんだ」

「今思い返すと、淡路島に立ち呑み屋がなかったからこそ、島の人たちが『いいお店をつくりたい』って思って注意してくれてたんだと思う。お店を始めたときは、まだ22歳で右も左も分からない状態だったから、外からのアドバイスが有り難かった」

 

「淡路島ブルースって呑み屋でも雰囲気が独特だと思っていて、ひとりで来たのにいつの間にか大勢で話していることが多いよね」

「テーブルって離れた席じゃなくて、声の届く範囲で飲めるから『どっから来たん?』とか全然知らない人でも話しかけやすいしなあ」

「あと、お酒飲んだら粘っこい人が多くない? お酒が入って話が長くなるとかじゃなくて、知り合いがどんどん来るから帰れない。これ淡路島の飲み屋あるあるだと思う(笑)」

「2013年の淡路島地震があったときにお店を開けたら、常連のほとんどが来てくれて地震の被害や避難場所についての情報交換をしていて。あのとき、銭湯とかで見る与太話を呑み屋でしてたことに感動して、『辛いときこそお店は開けとかなあかん』って思ったわ」

 

「地域のつながりの強さを感じる話やね。淡路島の人の中には、どんなときも急がず焦らずという考えがあるよね」

「淡路島って古代、朝廷に豊かな食材を納めていた国『御食国(みけつくに)』の歴史もあるし、食料自給率も100%超えていて、米、野菜から牛乳、牛肉まで揃うからか、島民のなんとかなる精神が大きいかもしれない。『災害があっても食料もあるし大丈夫やろ』みたいな」

「淡路弁の『べっちゃない(訳:たいした事ない)』って言葉が好きなんやけど、まさに淡路島の人柄を掴み取った感じがする」

「昔食料が豊かだったお陰で、身分や貧富の差が小さいこともあって淡路島には敬語文化がなくて。敬語がないからこそ、島内で年齢や役柄関係なく腹を割って話し合える雰囲気も関係しているはずだと思う」

「めっちゃわかる。私も18歳で淡路島を出るまで敬語を使ったことがなくて、島外出てから慣れるまでほんまに苦労した」

「それでも今も、島に敬語は似合わんな〜!」

「弦ちゃんは淡路島の中で比較的若い世代だけど、これから下の世代のために淡路島をどうしていきたいって思う?」

「今淡路島には医療大学しかなくて、高校まで島で育った子が必然的に進学や就職で島外に出るのはいい経験だと思う。でも、ここで育った子たちが戻ってきたいと思う島にはまだなってないのがひとつの問題点だと思ってて」

「島で働いている人って公務員や看護師とかお堅い職業の人の方が多くて、私みたいなフリーランスはすごく少ない。それもあって島外で暮らしている同世代の子たちは『島に戻ってきても何の仕事するの?』って思っている人が多いのも事実だよね」

 

「そのためには『こんな仕事でもこの場所で成功できる』っていう選択肢を増やすことが大事だと思う。たとえば、島にやって来たウェブデザイナーの人が週末にカレー屋をしたりとか。成功例をたくさん立てていって、どんな職業でも働ける環境をつくっていったらみんな帰って来やすいと思うねん」

「それこそ今は移住の人たちがどんどん増えて、東京の大きな会社が淡路島に移転する話も出ていて、淡路島に新しい風が流れている変わり目かもしれへんね」

「今まで島になかった異文化に触れることで、自分の物の見方も変わるし、島の新陳代謝もよくなって行くはずやから、外からやってくる人を優しく受け入れる姿勢をこれからも大事にしていきたいね」

「あきらめではなく、島の文化がこれからも豊かになるように、私たちで淡路島を盛り上げていきましょう〜!」

 

淡路島のお土産といえばこれ!

淡路島に来たのなら淡路島らしいものを買ってほしいと思うのがローカルの気持ち。ぜひ持って帰って欲しいお土産を紹介します。

 

あわじオレンジスティック(左)と、あわじ大江のり(右)

 

1930年に淡路島で創業した長手長栄堂の「あわじオレンジスティック」は、淡路島産の鳴門オレンジの皮をベルギー産のチョコレートにくるんでおり、酸味と甘みの絶妙なバランスが最高〜!

 

 

オレンジの他に、淡路島産のいちじくとレモンを同じくベルギー産のチョコレートにくるんだ商品もあるのでそちらも食べて欲しい!

 

「あわじ大江のり」は、パリパリの食感とピリ辛なのがクセになる味付け海苔。ひとつ500円代と、海苔としては少し値段は高いですが、間違いなく美味しい。ご飯と一緒に食べるより味がしっかり付いているので、おやつやお酒のおつまみとして食べるのがオススメです。

 

まとめ

淡路島は小さな島だけど、いいところがいっぱいあります。

 

高速道路を使えば、神戸から淡路島の北部にある淡路ICまで30分程度で行くことができるので、もし神戸に寄る際に少し時間が空いたら、ぜひ気軽に淡路島へ立ち寄ってみてください(ちなみに、徳島県にも橋でつながってます!)。

 

帰るところだけが故郷ではなく、出かける先も故郷になると思います。なので、みなさんも淡路島を自分の故郷のような感覚で、お気に入りの場所を見つけてくださいね。