こんにちは、山梨でデザイナー・編集者をしているBEEKの土屋です。

 

「山梨には、甲府には、なんにもない!」なんて言い捨てて、故郷に背を向け20代前半で上京。そのため、2013年に山梨へUターンするまで、地元にどんな人がいるか、どんな場所があるかということをあまりわかっていませんでした。

 

その後、山梨の人や暮らしを伝える『BEEK』というフリーマガジンを発刊するため山梨全域に足を運ぶようになって、山梨の豊かな自然や食べ物、個性あふれる人の存在に気づきました。

 

今回紹介する甲府市は、全国の県庁所在地の市で人口の少なさが1位と2位を行き来する、約18万人の街なんです。

 

山梨を空けていた10年近く、甲府の街のことを知らなかったのですが、さてさて隅々まで歩いてみると、「おや、なんだか面白いお店がたくさんあるぞ」と気づきました。

 

2013年当時はUターンや移住者が増え、コーヒースタンドやカフェ、アトリエ、宿などを始める若い世代がちょうど増えてきたタイミングだったのです。

 

そして、そうした新しい店と、もともと存在していた(ぼくが昔気づいていなかった)個性豊かな老舗店とのコントラストが、いま甲府の街をだんだんと面白くしているひとつの要因ではないのではないか?と気づきました。

 

甲府の街は自然との距離も近く、甲府中心の裏山で街を見下ろしながらのんびりすることもしばしば

 

よく県外の人に甲府のイメージを聞くと「ワインでしょ?」「桃とかぶどうでしょ?」「盆地で暑いんでしょ?」と言われます。むしろそれしか言われないほど、街の細かいことが伝わっていないようです。

 

だからこそ今回は、「nowな甲府」でぼくがよく行くおすすめのお店や場所を紹介させていただきます。10選に絞りきれず、プラス1ケ所の全11スポット! 観光目線というより、日常に溶け込むように味わい深い街を堪能してもらえたら嬉しいです。

 

では、いってみましょー。

 

※取材は新型コロナウイルス感染症対策に配慮したうえで行われ、撮影の際だけマスクを外しています

 

目次

    1. 甲府の個性豊かな食
    2. 1.六曜館珈琲店
    3. 2.つけそば さんぷく
    4. 3.発酵酒場 かえるのより道
    5. 4.NAP bed and lounge
    6.  
    1. 山梨のワインを体感する
    2. 5.フォーハーツカフェ
    3. 6.シャトー酒折
    4.  
  1. 最高の癒し力の温泉銭湯
  2. 7.草津温泉
  3. 8.喜久乃湯温泉
  4.  
  5. 甲府らしいお土産
  6. 9.澤田屋
  7. 10.印傳の山本
  8. 11.五味醤油

 

甲府の個性豊かな食

新旧とても個性あふれるお店が多いのが、甲府の食事情。味な店から、山梨の豊かな恵みを食せる店まで、バラエティ豊かな4つのお店を紹介します。

 

蔦に囲まれたレトロ喫茶店「六曜館珈琲店」

建物全体が蔦に覆われた入り口のドアを開け、中に足を踏み入れると、明治・大正時代のランプやステンドグラス、柱時計などが飾られた懐かしい佇まい。流れる音楽と珈琲の香りで、外の喧騒をあっという間に忘れられます。

 

もともとこの「六曜館」は、併設されている旅館「萬集閣(まんしゅうかく)」の応接間だったそう。昭和47年頃に喫茶店として始まったといいます。

 

レトロ喫茶好きの若い人が県外から訪れることも多いそう

 

日中は珈琲やスイーツ、ランチもあります。地元作家・Tinytotroomのロコさんもお気に入り

 

そして17時になると店主の娘さんにバトンタッチして、お酒も飲めるスタイルに。

ぼくのおすすめは、この時間から食べられる餃子! レトロ喫茶で餃子が食べられるスタイルは、なかなかないのでは。昼だけではなく、夜もおすすめな喫茶店です。

 

六曜館珈琲店

〒400-0031 山梨県甲府市丸の内2丁目15-15

 

つけそばの虜になる!「中華レストラン さんぷく」

飲食店のジャンルが豊富な甲府で、ついつい足繁く通ってしまうのがこちらの昭和36年創業の「中華レストラン さんぷく」。その理由は、店の名物「つけそば」と大好きな餃子の組み合わせの唯一無二感を味わえるからなんです。

 

こちらがその「つけそば」(写真は「つけそば大」)です。ツヤッツヤで香りもよいモチモチっとした太麺に、醤油ベースでくせになる酸味がたまらないスープの組み合わせ。さっぱりした味わいで、大盛りでもさらっと食べれてしまいます。

ほかのお店で代替のきかないこの味を覚えてしまうと、もうさんぷくの虜。

 

昭和40年代にこのつけそばが誕生してから、「つけそばのさんぷく」と街の人たちに愛されるようになり、その味は時代を超えて継承されています。

 

餃子も見てください、この美しい焼き具合とたたずまい! ぼくのやまなし餃子総合部門(見た目、味、お店構え)ではこの餃子が今のところトップです。

餃子のあんは、国産の豚肉、キャベツ、ニラ、ニンニクをベースに作られていて、特注の餃子鍋でじっくり焼くことでカリッとした表面とふっくらジューシーな食感で、見た目だけではなく味も最高なんです。

 

つけそばと餃子の組み合わせが最強組み合わせですが、たまに浮気しちゃう酸辣湯麺もおすすめです。

 

ちなみにさんぷくのTwitterのフォロワー数は、街場の飲食店としては凄すぎる3.6万フォロワー!!

厨房の様子や飯テロ、独自のコラボキャンペーンなど面白コンテンツ満載で、SNSの使い方の上手さにも舌を巻いています。さんぷくを訪れて気になった人はぜひこちらもチェックしてみてくださいね。

 

中華レストラン さんぷく

〒400-0032 山梨県甲府市中央1丁目4-9
https://twitter.com/sanpuku_329
http://sanpuku-tsukesoba.com/

 

寄ってけし!「発酵酒場 かえるのより道」

お店のドリンクはもちろん、食べ物にもすべて発酵食品や、麹や甲府ならではの「甲州合わせ味噌」、酒粕をはじめとする発酵調味料が使われる発酵パラダイスな酒場「かえるのより道」。

 

発酵つまみのひとつひとつが丁寧につくられていて、豊富な日本酒やワインなど、どのお酒にあわせようか悩みまくります。ちなみにぼくが好きな組み合わせは、塩麹漬け鶏の唐揚げと酵素レモンシロップの特製レモンサワー

 

塩麹使うだけで「味がこんなに変わるのかー」という感動の唐揚げに、レモンサワーが合うんですよ〜。

 

「何を飲むか決められないー」という人は、店主の桑ちゃんにぜひおすすめを聞いてみてください。

店内には昭和な懐メロが流れ、ついつい口ずさんでしまうことも。ピンクレディーなんかが流れると胸熱…。季節の旬のメニューが書いてある黒板は必ずチェックしましょう。

 

甲府といえば、はしご酒。かえるのより道のあとに、どこへ寄り道するかも楽しみになりますよ。

 

発酵酒場 かえるのより道

〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1丁目20−21
https://www.instagram.com/kaerushouten/

 

カフェ&バー併設の山梨を味わう宿「NAP bed and lounge」

旅において、宿ってとても大事だと思いませんか? 大きなホテルの安心感もあるとは思うけど、街のことを知るなら、その街に根ざした宿に泊まるのがいちばん近道だと思います。

 

そんなときに紹介したいのは、併設したラウンジで絶品ハンバーガーや世界のクラフトビールも楽しめる「NAP bed and lounge」。甲府らしい路地裏にその宿はあります。

 

人気のハンバーガーはランチでは1日前の予約にて、夜のバータイムではいつでも食べることができます(数量は限定)。どうですか、このハンバーガーの勇姿!

お肉は甲州ワインビーフ100%、そして肉の旨味をぎゅっとはさむバンズは近くの老舗パン屋さん「丸十」さんに特注でつくってもらっているという、山梨が詰まったハンバーガーなんです。

 

このハンバーガーを一度食べて、もう一度食べたいがために県外から来るリピーターのお客さんもいるんだとか。

 

店主にオススメを聞いてみたら台湾のTAIHU BREWINGを教えてくれました。ハンバーガーに合うビールも!

 

もう一つNAPで充実しているのが、クラフトビール。ハンバーガーに合わせたいからとお店で出し始めたのですが、世界のいろいろなビールが飲めると巷で人気になり、ついには「BEER for NAPPER」というクラフトビール専門ショップもNAPと同じ通りにオープン

 

大人気な「うちゅうブルーイング」のビールもありました

 

宿のほうはというと、NAPのラウンジの2Fにある一部屋(2名まで)と、BEER for NAPPERの2Fにある「hanare」(最大4名まで)という一部屋に滞在できます。それぞれ1日1組限定なのでコロナ禍でも安心です。

 

 

店主の吉田くんは、県外出身で大学進学で山梨に。その後は一度、東京に出ますが、宿をやるなら山梨でやりたいと、ふたたび舞い戻ってきました。

 

「うちは首都圏のお客さんが多いんですが、何しに来たんですかって聞くと、特に目的はなく休みに来たって言う人が多くて(笑)。甲府は最近いろいろあるらしいぞって予感で来る人もいて、お客さんの好みを聞いて地元のお店もいろいろ紹介しますね。

うちは徒歩圏内でいろいろなお店に行けるので、目的も現地で見つけるというスタイルが多いんです。山梨のワイン美味しいってなったら、次の日ワイナリーも行けますしね」

 

吉田くんの話を聞いていると、世の観光スタイルも変わってきているよう。ぜひ自分ならではの甲府の旅の目的を、NAPで見つけてみてください。

 

ちなみにNAPではレンタサイクルもやっているので、自転車があればだいたいの行きたいお店には行けるはず!(今回の紹介場所もいけるはず。坂の多い「シャトー酒折」は大変だけど)

 

NAP bed and lounge

〒400-0032 山梨県甲府市中央4丁目3−2
https://www.instagram.com/napbedandlounge

 

山梨のワインを体感する

山梨ワインを甲府で語るなら絶対にはずせない「フォーハーツカフェ」と、甲府駅から車で約15分のワイナリー「シャトー酒折」さんを紹介します。

 

山梨やワインを編集し発信し続ける「フォーハーツカフェ」

ぼくが大学生時代に背伸びをしてよくベーグルを食べにいったカフェ「フォーハーツ」。

甲府でどこのお店よりも早くエスップレッソマシンを入れたり、クラフトビールや山梨のワインも甲府ではフォーハーツがどこよりも早く紹介していました。

 

いまは山梨のワインを伝える、カフェというよりバル的な夜の営業がメインです。

 

コロナ前は、大木さんセレクトのワインを求めて県外からもお客さんが大勢来ていました

店主の大木さんは、日本全国が海外ワインにしかまだ目が行っていない頃から、山梨のワインに注目。その価値を伝える活動を様々してきました。

2008年に始まった「ワインツーリズムやまなし」が、その最たる例。ワインという二次産業(加工業)を三次産業(観光業)として転換させ、新しい価値をつくっていくことを大事に考えたのです。

 

「文化を発信している街は、どこも食が元気。僕らは、文化の耕作放棄地となっているこの街を今は耕している状態で、まだまだ時間がかかるんですよ。でも地道にやっていくしかないね」

という言葉に、編集者としての大木さんの一面を感じ、頭が下がります。

 

そういった活動から、お店にワインのつくり手たちが集まるようにもなりました。扱うワインも、そのつくり手たちから直接毎年のワインの出来を聞き、フォーハーツならではのセレクトが揃います。

 

山梨のワインに興味のある人には難しい言葉を使わず丁寧に、そのワインの味わいやワイナリーのつくり手のことも語ってくれます。

 

料理は農家から直接仕入れた山梨の新鮮な野菜をその時々の調理方法で調理してくれます。メニューに、「ズッキーニ」「かぶ」「里芋」とだけ書いてありますが、その野菜だけで勝負する潔さと、野菜の美味しさがダイレクトに伝わってくることに感動します。

 

他にもワインに合うおつまみも豊富で、パスタなどのメニューもおすすめ。

山梨のワインも刻々と変化しています。山梨ワイン初心者の方もワインラバーな方も、フォーハーツカフェで、よいワインとの出会いを。

 

フォーハーツカフェ

〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1丁目16-13 ヤマサビル1F
https://www.instagram.com/fourhearts_jp/

 

日常で楽しめるワインを。「 シャトー酒折ワイナリー」

実際に甲府に来てワイナリーに行ってみるなら、甲府駅から車を約15分走らせて、甲府盆地を見渡せる高台にある「シャトー酒折ワイナリー」がおすすめです。(ちなみに甲府駅の隣の酒折駅からは歩いて約15〜20分ほど)

 

窓から甲府盆地が一望できる直営の売店では、自社ワインがズラリ。試飲スペースもあります。

 

シャトー酒折では、甲州、マスカット・ベリーAなど日本固有の葡萄品種にこだわってワインを作っています。白、赤、ロゼ、スパークリングなどいろいろなタイプがあるなかで、おすすめはワイナリーを代表するワインともいえる「甲州ドライ」

 

口当たりがスッキリしていて、飲んだあととても爽快感が残るシャープでドライなワイン。和食に特に合いますが、日々どんな食事が食卓に出てきても、いつもそこにあってほしいワインの一つだなと思います。

 

2016年の伊勢志摩サミットでも提供され、様々なコンクールでも賞を取っているワインなのですが、手に取りやすい値段でコスパが最強。ワイナリーのコンセプトでもある「日常の食卓で楽しめるワイン」を体現しているんです。

 

オープンテラスでは甲府盆地を一望できます。のんびりするのも大事な旅の目的。ハンモックにゆられながらテイスティングを楽しんてでみてはどうでしょう。

 

シャトー酒折

〒400-0804 山梨県甲府市酒折町1338-203
https://www.instagram.com/chateau_sakaori/
https://www.sakaoriwine.com

 

最高の癒し力の、温泉銭湯

さて、私的甲府のいちばんの魅力といったら「銭湯」です。 430円で入れて、しかも市内の銭湯9件は全て温泉銭湯なんです。多くの銭湯が関西式といわれる湯船が浴室の中央に位置するのも甲府流。

 

山梨だけど、「草津温泉」

なかでも甲府に来たらおすすめの銭湯を、ふたつ紹介したいと思います。

 

まずひとつめは甲府にあるのに、その名も「草津温泉」

気になる名前の由来ですが、昭和初期に群馬県・草津出身の方が始めたことがきっかけだそう。

甲府で「草津」といえばほとんどの人がここの温泉だとわかるほど、地元に根付いた温泉です。(余談ですが、最初「草津湯」という名前の温泉ではない銭湯だったのが、オイルショックの頃に先代が一大決心してボーリングした温泉なんだそうです)

 

この温泉の最大の魅力が源泉47度の掛け流しというところにあります。

 

40〜42度の主浴槽(少し熱め)と、46度の高温浴槽(めっちゃ熱い)と、地下水の約22度の冷泉(つまり水風呂)、39〜41度の露天風呂(まぁまぁ熱い)とバラエティ豊か。

さらに冷泉があることで、温冷交互浴ができ、結果として体の芯からものすごく温まります。

 

朝6時から夜10時までという営業時間なので、僕も朝イチに「草津温泉」をキメて、そこから仕事や打ち合わせに行くこともしばしば。

どんなに仕事で疲れて疲弊することがあっても「草津に入れば」という言葉を呟き自分を鼓舞し、実際に草津で温冷浴をすれば生き返る。草津温泉に生かされているといっても過言ではない…。ぜひみなさんも日々や旅の疲れを癒してくださいね。

 

草津温泉

〒400-0041 山梨県甲府市上石田1丁目10-12
https://www.instagram.com/kusatsu_kofu/

 

昭和にタイムスリップ「喜久乃湯温泉」

昭和元年(1926年)に創業した銭湯「喜久乃湯温泉」は、あの昭和の文豪、太宰治も新婚時代の甲府滞在中に足繁く通ったという歴史も持っているのです。太宰が実際に浴槽に入りながら何を考えていたのか…そんな妄想をしつつ一歩建物の中に足を踏み入れると…。

 

なんとも懐かしい靴箱に靴を仕舞い、番台で430円を払って脱衣場に。そこは見事なまでの昭和イズム。昭和生まれの僕が妙に落ち着くのは、つくられたレトロっぽさではなく、しっかりと時間が紡がれてきた歴史を感じることができるからだと思います。

 

壁には昭和40年代の広告看板がそのまま残っています。書体やレイアウトからも時代を感じます。喜久乃湯温泉は、昭和41年に現在の建物に改装された時のままですが、古びた感じはなく、むしろ床は磨き上げられとても清潔感があり、この風情を残そうという店主の気概が感じられます。

 

タイルが美しい浴室の雰囲気は、これぞ銭湯! 浴槽は4つあり、奥にはサウナもあるんです。奥の二つの浴槽が源泉掛け流し。奥の手前がだいたい38度の源泉加温、一番奥は28度の源泉そのままで、サウナ後はここにドボン。

シャンプーやボディソープは自前で用意してあるとベストです。

 

甲府ならではの銭湯に入ってこその甲府観光ですよー。

 

喜久乃湯温泉

〒400-0025 山梨県甲府市朝日5丁目14-6

 

甲府らしいお土産

甲府に昔からあるけど、今の時代にアップデートされたものをぜひお土産に。

 

“黒い玉”の存在感。老舗和菓子屋の「澤田屋」

明治44年創業の老舗和菓子屋「澤田屋」さんの名物といえば、昭和4年に生まれてからずっと看板菓子として存在感を放つ「くろ玉」があります。

 

このつやつやの漆黒をまとった黒い玉菓子のインパクトはなかなかですよね。

この黒い正体は、黒糖羊羹。中身の餡は、青えんどう豆を煮て練った「うぐいす餡」。豆本来の優しい味わいが引き立てられていて、黒糖羊羹との相性もバッチリです。

和菓子としてお茶と一緒にというシーンが多かったと思いますが、僕ら世代はコーヒーに合わせるのも◎。

 

そしてこの絶妙な丸みを作るのは、熟練の職人たちの存在が欠かせません。火にかけた黒糖羊羹の鍋の中に丸めたうぐいす餡を放り込み、 すかさずすくい上げます。繊細な羊羹の状態を見極めながら、ひとつひとつ手づくりしているんです。

 

くろ玉は高速道路のサービスエリアや駅にも売っていますが、他の和菓子やその時期のお菓子も買える澤田屋本店に立ち寄るのがおすすめです。

 

澤田屋

〒400-0032 山梨県甲府市中央4丁目3-24
https://www.instagram.com/sawataya

 

一つひとつ手づくりの甲州印伝「印傳の山本」

「甲州印伝」とは、鹿革を原材料とする工芸品。甲府を中心に発展し、鹿革に漆で模様を付けたものが特徴で、現代では財布や名刺入れ、カバンなど様々な製品がつくています。鹿皮は軽くて丈夫なので長く使え、漆で表される柄のデザインもロングライフな普遍性で、ずっと愛されています。

 

印傳の山本でも、名刺入れやガマ口、キーケースなどおみやげにも最適な小物が充実しています。自分がほしい商品で、柄や色の組み合わせがない場合は、自分で革の色(20色)、漆の色(3色)、印傳の柄(約50種類)を指定してセミオーダーもできるんです。つまり自分好みの革製品が作れるということ。

 

現在、代表を務める山本裕輔さんは日本で唯一の甲州印伝 伝統工芸士 (総合部門)の称号保持者なんだそう。印傳の制作はほとんどが分業制のため、一貫して制作できる人は稀なんです。

 

さらに山本さんは、伝統工芸だからと言って敷居が高いイメージで印傳を手に取ってもらう間口を狭めたくないという想いから、ゲーム会社やアニメ、漫画、ブランドなどとのコラボレーションを積極的に展開しています。山本さん曰く「甲州印傳の可能性をもっといろいろな人と一緒に広げたい。もっと若い世代にもどんどん手に取ってほしい」とのこと。

 

今後は印傳の制作を体験してもらうスペースも作っていくそう。長く続いているいわゆる「伝統」は、その時代に沿ったアップデートをするから、「伝統」として残っていくのだと思います。

 

印傳の山本

〒400-0862 山梨県甲府市朝気3丁目8-4
https://www.instagram.com/inden_yamamoto

 

2種類のこうじを合わせた不思議なミックスみそ!「五味醤油」

明治元年創業の「五味醤油」は、社名に醤油とありますが、現在は醤油製造はしていません。みそ屋として営業している、なんともややこしい会社です。地元では「五味醤油という名前のみそ屋」で通っているのもすごい話。

 

「甲州みそ」という地味噌を製造して150年、山梨の味を支えて来ました。

 

「甲州みそ」とは、米こうじと麦こうじ2種類のこうじを合わせたみそのことを言います。通常、みそはこうじ1種類で製造することが一般的ですが、「甲州みそ」はこうじを2種類使うのです。つくる手間ももちろん2倍。

 

さらには木桶仕込みの無添加天然醸造。それだけ手間をかけて作った味噌はとってもまろやか。郷土料理・ほうとうの味の決め手はこの甲州みそ。きゅうりにつけるだけでも、みその旨みを存分に味わうことができます。味噌汁をつくってみて、いつもの味噌との違いを楽しんでみてください。

 

五味醤油では他にも塩こうじや味噌かりんとう、食卓が豊かになるセレクトされた調味料が並ぶので、そちらもおすすめです。

 

五味醤油

〒400-0861 山梨県甲府市城東1丁目15-10
https://www.instagram.com/gomishoyu

 

さて、次のページではフォーハーツカフェの大木さん、五味醤油の五味くんに登場いただき、甲府のまちのこれまでと未来について話を聞きます。

 

甲府の今昔から見える、街の未来