九州の夏の王様「ブラックモンブラン」

そろそろお菓子ブロックに移ろう。まずは九州アイスの王様的存在、竹下製菓の「ブラックモンブラン」だ。

 

竹下製菓の広報・竹下さんに電話すると、九州のほかは東京・大阪・愛知・山口・広島などの一部店舗に置いてあるそう。

 

東京ではスーパーのサミットストアによく置かれていると教えてもらった。なんでも、当時のバイヤーさんが『秘密のケンミンSHOW』でブラックモンブランを見て興味を持ったのが取り扱いのきっかけになったとか。

 

さっそくサミットへ行くと……あった! 雄大なモンブラン(山)と原色文字のコントラスト。これがブラックモンブランの華やかなパッケージを形作る。

 

まわりのクランチをガシュガシュ噛むたびに、バニラとチョコの風味が広がる。子どもの好きなものをとにかく入れ込んだ、超プチリッチな味。

「これで僕は夏の王様になれる」というような全能感すら高まるアイスだった。

 

なお、東京界隈で勢力を伸ばしてきたのはここ3~5年ほど。九州出身の小売店や卸売店のバイヤーが中心になって仕入れが広がっている。

 

九州人の熱愛度たるや、ブラックモンブランが置いていないことに「お叱りの声もいただく」ほど。だが入荷を決めるのは竹下製菓ではなくお店側なので、故郷の味が恋しい九州人は、ぜひ近所の店にかけ合ってほしい。

 

ところで近年、大々的に全国進出が報じられたアイスといえばブルボンの「ルマンドアイス」である。

2016年の夏に新潟県と北陸3県(富山県、石川県、福井県)で販売を開始後、徐々に販売範囲を拡大。2018年2月の関東発売を機に、全国販売となった商品だ。

 

どこにでもあるわけではないが、筆者は恵比寿駅近くのピーコックストアや渋谷のローソンなどで見かけた。

 

食べてみよう……うまい。アイスクリームの中にルマンドが入ったアイスとなると、口の中が混沌とする末路を想像するが、すばらしい完成度。ちょっとお高い225円(税抜)でも納得だ。

 

なお、お菓子といえば、少し前から都内でもよく見かけるようになったのが野村煎豆加工店の「ミレービスケット」だ。もともとは高知県民のソウルフードとして愛されてきたものだ(もっとも、大昔は全国的に食べられていた)。

 

ここ10年ほどで一気に全国へ打って出て市場を拡大し、全社売上高は約10倍にも伸びたとか。

 

小袋タイプもあり、ちょっと食べたいニーズも押さえる

 

食べてみると、「まじめなおかし」なるキャッチフレーズがピッタリ。塩気も少なめで、ビスケットの香ばしさで勝負する正攻法のお菓子だ。焼きたてのパンにも似た味で、ほんのり幸せな後味が残る。

 

ジャンキーな味付けではない、食べる罪悪感の少ないお菓子。お母さんが子どもに買い与えたくなりそうだ。

 

憧れの「レインボーラムネ」がふつうに売っている?

西日本圏で発売され、最近になって東日本での販売も開始されたUHA味覚糖の「レインボーラムネミニ」。実は、都内でこれがふつうに売られていることは革命的だ。

 

もともとは奈良県にあるイコマ製菓が製造販売している「レインボーラムネ」がモデルで、これが幻のラムネと言われるほどの人気。購入は申込制で、毎年3・9月の抽選には2万人近く申し込むが、1000人ほどしか購入権が当たらない狭き門である。

 

それがUHA味覚糖との共同開発により、当たり前に買えるようになった。商品説明にも「美味しさはそのままに小粒でカラフルなカワイイラムネに仕上げました」とあるので、味はお墨付きだ。

 

食べてみると……とてもおいしいラムネだ。本来、数十倍もの抽選をくぐり抜けないと食べられない味、と思えばありがたみも増す。

 

もっとも、本家のレインボーラムネを食べた人によると「おいしいけど、(本家の)レインボーラムネにはかなわない」との声もあるが、あの味を安く楽しめるのはうれしい。

 

そして最後に紹介したいのが、浦安のスーパーで見つけたサッポロの「愛のスコール ホワイトサワー」。お酒である。

 

もともとは南日本酪農協同から1971年に発売され、乳性炭酸飲料ブームの先駆けとなった飲料「スコール」。この九州を中心に愛されてきた「スコール」がお酒になって、全国販売されるようになったのだ。

飲むと非常に飲みやすいホワイトウォーターの味であるが、何やら野性味のある香りが立ちのぼる。

アルコール度数は4%と低いので、今流行りのZoom飲みで飲み過ぎたくない人にもよさそうだ。

 

おわりに

スーパーマーケットは、本当にスーパーな存在だと思う

 

正直まだまだ紹介しきれていないものもあるが、このあたりにしておこう。

 

ローカル商品に趣を感じる筆者としては、無理に全国区を目指さず、そこにしか咲かない花として貴重な存在でいてほしいと思ってしまう。

 

だがそれでも、より大きなステージを目指すかつてのローカル商品を見たら拍手を送りたい。そしてまたローカル商品に戻ってきたときも温かく迎えよう。