ネコが飛ぶ島『佐柳島』を満喫する【島民の数より猫が多い!】

2019.04.22

ネコが飛ぶ島『佐柳島』を満喫する【島民の数より猫が多い!】

ネコがたくさんいる離島、佐柳島(さなぎじま)。堤防の間をピョン!と飛ぶ猫が有名なこの島……撮りやすい方法やポイントなどをお教えします。もちろん、島までのアクセスや料金、小学校の廃校を利用したホテルなど、旅に役立つことをレポートしますよ!

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    佐柳島、ネコ以外の観光ポイント

    そういえば島に上陸してから、まだネコとしか触れあっていないことに気が付きました。

    そしてこの島には、ネコ以外にも見所がいくつかあるのです。

    というわけでここからは、その他の観光スポットや、廃校を利用したホテルなどをご紹介しましょう

     

    珍しい墓のシステム

    ぎっしりと並んだ石の塊。この光景はいったい何なのでしょう?

     

    実はこれ、お墓なのです。

    少し変わった形をしていますが、「両墓制」というめずらしいタイプのお墓なのだそう。

     

    両墓制とは、死者の霊魂を祀るお墓と、死者の肉体を埋葬するお墓が、2つセットになっているお墓のこと。全国的にも大変珍しいんですって。

     

    霊魂は島に残し、亡骸は海に流す、という意味で2つセットのお墓になっているのです。

    海に囲まれた小さな島に生きた人々……その願いが、このお墓にはこもっているのかもしれませんね

     

    天狗に会いに行く

    佐柳島の魅力は海だけではありません。ふもとからのびている登山道を歩くと……

     

    「大天狗神社」という神社があります。

    こちらは、珍しい「天狗」を祀った神社なんです。

     

    さっそく天狗が。

    明るい海との対比で、薄暗い山の中はちょっと怖い……

     

    かつて島民は、天狗神社に参詣した際、この太鼓を鳴らして天狗に参詣を伝えたそうです。

     

    天狗って普通、山じゃない? 四方を海に囲まれた離島なのに、なぜ天狗を祀ってるの?

    という疑問を抱くのは当然だと思いますが、そのあたりについては、こちらの記事で詳しく書いています。

     

    歴史の裏に「海の民」がいた? ネコの島に残されたミステリー

     

    周辺には、案内の地図で「絶景ポイント」として書いてある場所があります。

     

    たしかにこれは瀬戸内の絶景! 青々とした海と、遠く連なる島々……体力に余裕があったら是非ここまできて、瀬戸内の絶景を独り占めしちゃいましょう!

     

    島唯一のホステルへ

    以前は観光客が少なかったということもあり、島に宿泊施設はありませんでした(つまり日帰りしか無理だった)。

    さらに商店も二軒しかなく、外食できる店もないので、観光客は自分で食料を持っていかなければならない状況でした。

     

    2015年に誕生した「ネコノシマホステル」は、島に唯一の宿泊施設というだけではなく、島に唯一の飲食店も併設されています。

     

    しかも……

     

    なんと、廃校になった小学校を改装して作られてるんです!

     

    オシャレ!

    黒板を利用して、島の地図やフェリーの時間が書いてありますね。

     

    ホステルの家具は学校の備品を再利用したものがほとんどで、人体模型、理科の実験器具などもインテリアとして飾られています。

     

    教室が再利用されているので、ホステルのそれぞれの部屋は「理科室」や「音楽室」といった名前が付いています。ちなみにぼくが泊まったのは「理科室」です。

     

    室内の棚にはビーカーやフラスコが並んでいます。

     

    そして窓から見えるのは……

     

    視界一面のオーシャンビュー!

    最高です。

     

    ネコノシマホステル

    ・図書室

    相部屋|定員8名まで

    一人3000円

    ・資料室&図工室

    個室|1~3名まで

    一人5000円

    ・理科室

    個室|2~4名まで

    一人5000円

     

    ※ドミトリー、個室とも室内に洗面、トイレ、シャワーの設備はありません。離れに共用のトイレ・シャワー棟があります。

    ※無料Wi-Fiあり

     

    島のグルメに舌鼓

    さて、一日ずっと動いていたためか、お腹がすいてきました。先述したように、ネコノシマホステルには飲食店(喫茶ネコノシマ)が併設されており、夕食もここでいただきます。

     

    右に大きく盛られているのは、佐柳島名物のタコ。

    自然の移り変わりを直に感じながら作られるお料理は季節によってそのメニューも移り変わります。

     

    こちらは喫茶ネコノシマの名物のカレーです。香辛料が効いていてなかなかにスパイシー!

     

    イチジクがふんだんに使われた特製ジェラート。

    佐柳島が属している多度津町は、近年イチジクの栽培にも力を入れているんです。

     

    紹介したカレーとイチジクのジェラートは、宿泊の人でなくても、喫茶ネコノシマに行けば食べることが出来ます。日帰りの方もぜひどうぞ!

     

    離島にホステルを

    ネコノシマホステルを経営されているオーナー、村上ご夫妻の旦那さんは、佐柳島出身のお父様がおり、その関係で何度か島を訪れるうち、この島の魅力に取りつかれていったといいます。

     

    最初、島に突然ホステルが出来るということで困惑していた島民の人も、今ではすっかりご夫妻に馴染み、喫茶ネコノシマは多くの島民の憩いの場所になっています。

     

    時間を超えた出会い

    ネコと自然が素晴らしい佐柳島。

     

    では、島にはどんな人々が住んでいるのでしょうか? たまたまベンチに座って話をしていたお婆さんに話をうかがうことができました。

     

    このベンチに座り、日向ぼっこをしながらお喋りをしていたお二人と、ぼく。

     

    ――とってもお元気そうに見えますが、お歳はおいくつなんでしょう?

     

    お婆さん:私はこの地区の最高齢で、もう90を超えているんですよ

     

    ――ええ! そんな風にはとても見えませんよ。なにか、健康の秘訣などあるんですか?

     

    お婆さん:最近は観光客が増えて、若い人がよく訪れるようになったでしょう? そういう、若い人たちと話すことでパワーをもらってるんです(笑) みなさん、どんどん話しかけてほしいわ~

     

    ――なるほど(笑) といってもぼくは、観光客というか、本籍が佐柳島にあるんです。島にも何度も来たことがありまして。名前は谷頭と言います

     

    お婆さん:ええっ? ひょっとして谷頭先生のところのご親戚? 私、小学校のときに谷頭先生に教わっていたのよ。恩師だったの。今でも感謝しているわ。

     

    実は、ぼくの大叔父は佐柳島小学校(現在はネコノシマホステルになっています)で先生をしていたのです。

    そのことは知っていましたが、大叔父が教えた生徒さんが、まさかまだ島に残っていて、たまたまこの取材で出会うことになるとは思ってもいませんでした。

     

    谷頭先生はすこしばかり変わった教師だったようで、戦前としては珍しいヨガや体操の映像を見せたり、欧米の最先端のものを授業に取り入れていたようです。親戚なのに全然知らなかった。

     

    話をするうち、お婆さんたちの頭の中には、何十年も前の風景がありありと浮かび上がってきたようです。

    小学校の授業風景や、賑わっていた街並み、当時生きていた人々の様子を思い出しながら、最終的にはじんわりと目に涙が……。

     

    なぜか(先生でも何でもない)ぼくの手を握って、感謝の言葉を告げてくれたお婆さん。大叔父はすでに亡くなっていますが、時間を超えたこの出会いを墓に報告したいと思います。

     

    ネコの島・佐柳島の旅へ

    というわけで今回は、ネコが飛ぶ島『佐柳島』の魅力をご紹介しました。

     

    佐柳島で過ごした時間は、時が止まっているような、いや、時間そのものが「ない」ような、そんな感覚を覚えました。

    それはネコという、人間とは比べ物にならないぐらい自由な時間感覚を持つ動物に取り囲まれているから……かもしれません。

     

    みなさんも、ネコとこの不思議な時間感覚を味わいに、ぜひ佐柳島に行ってみてくださいね!

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    谷頭和希
    谷頭和希

    フィールドワーカー・ライター。都会の再開発地帯、郊外のチェーン店から離島まで幅広い場所をただひたすら歩きながら記録しています。『オモコロ』、『マガジン航』、『サンポー』などでも執筆中。

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