目指すのは、初心者でも楽しめる「スポーツエンターテインメント」

河村さん「わたしたちはこの横浜スタジアムを、単なるプロスポーツの場所というよりも『スポーツエンターテインメント』を提供する場にしたいと考えています」

少年B「スポーツエンターテインメントとは、普通の野球観戦と何が違うんでしょう」

河村さん「例えばこの写真をみてください」

 

ⒸYDB

 

少年B「すごい、スタジアムが青一色に! おまけに花火まで」

河村さん「実はこれ、『BLUE☆LIGHT SERIES』と呼ばれるスペシャルイベント時の写真なんです」

少年B「アーティストのライブ会場みたいですね」

河村さん「通常の試合時も、DeNAベイスターズが勝つと花火にムービングライトを織り交ぜたショーで演出をしています」

 

ベイスターズ勝利時には花火とムービングライトで盛大に祝福する ⒸYDB

 

少年B「これは心に残るなあ…」

 

スタンドのファンが一緒に踊れる「at home ハッピースター☆ダンスCONTEST」は、スタジアムのビジョンでも映され球場を盛り上げます。初心者が退屈しがちなイニングの交代中もお客さんが一緒に楽しめる時間に ⒸYDB

 

河村さん「その他にも『at home ハッピースター☆ダンスCONTEST』というイニング間のイベントや」

 

ダチョウ倶楽部は2014~2019年の5年連続でセレモニアルピッチを行っている ⒸYDB

 

河村さん「例えば、ダチョウ倶楽部さんにゲストとして登場していただいた時には、選手やお客様も巻き込んだパフォーマンスを取り入れたセレモニアルピッチをしてもらっています。これらがDeNAベイスターズが考える、初心者にも楽しんでもらえるスポーツエンターテインメントの一つの形ですね」

少年B「すごく素敵だと思います。意地悪な質問かもしれないんですが、エンタメ化が進むと熱狂的な野球ファンは逆に冷めてしまう…みたいなことはなかったですか?」

河村さん野球ファンの方も、自分の好きな野球の魅力を周りに伝えたいと思うんです。だから、身近にいる野球に興味のない方への誘い文句として、球団オリジナルのクラフトビールや勝利時の花火のショーを使っていただけたらと」

少年B「たしかに、友人や彼女を誘うのに最高の口実だ」

河村さん「実際に若いカップルのお客さまがデートで訪れたりもしますし、女性の方が来る比率も増えています

少年B「横浜はデートスポットとしても有名ですもんね」

河村さん「ただ、ターゲットは女性だけではありません。家族連れやお年寄りの方など、多くの人に安心して楽しんでもらえる場所に横浜スタジアムがなるように取り組んでいます。その一環で、リビングBOXシートなどの複数人で楽しめるBOXシートを導入しました」

 

靴を脱いで上がれる4~5人向けの「FOURSIS(フォーシス) リビングBOXシート」は家族連れに人気。多くの方に楽しんでいただけるよう、いろんな席や仕掛けを用意しています ⒸYDB

 

少年B「こうしたボールパーク的な手法って、やはりアメリカのメジャーリーグを参考に?」

河村さん「もちろん、メジャーリーグや国内の他球団は参考にしています。ただし、わたしたちが求めるのはエンターテインメントですので、音楽のライブや、人気の遊園地などに関してもよく調べていますよ

少年B「なるほどー!そういうところから独自の世界観を作っているんですね」

河村さん「『球場に来たぞ』じゃなくて『ハマスタに来たぞ』と思っていただけるようになったら、うれしいですね」

 

横浜の街とともに歩む球団へ

ⒸYDB

 

少年B「お話を聞いていると、球団が一丸となった取り組みだと感じます」

河村さん「そう言ってもらえるとうれしいです。ただ球団だけでなく、街とも一丸となっていきたいと思っていて。我々は横浜に根づき、横浜と共に歩んでいきたいという想いを持っています」

少年B「ほう…どういうことでしょうか?」

河村さん「実は横浜をスポーツの力で盛り上げようという『横浜スポーツタウン構想』というものを打ち出していて」

 

2017年にDeNAベイスターズが提唱した「横浜スポーツタウン構想」は横浜スタジアムを核としたまちづくりの構想 資料提供:横浜DeNAベイスターズ

 

河村さん横浜という街あっての球団ですから、街と球団がともに歩んでいく形になっていきたいな、と。なので、オフィシャルホテルでの観戦チケット付き宿泊プランや、百貨店でのライブビューイングなど、地元企業や行政と組んださまざまな取り組みをおこなっています」

 

ヒーローインタビューの最後に必ず選手がいうセリフ「I ☆(LOVE) YOKOHAMA」にも「横浜、プロ野球のある街」という球団のメッセージが込められている ⒸYDB

 

河村さん「また、横浜市と『I☆YOKOHAMA協定』という包括連携協定を締結して様々な取り組みを進めていますし、横浜スタジアムの改修も連携して、スムーズに進めることができています」

少年B「 スタジアムの改修に市の許可が必要なんですか?」

河村さん「横浜スタジアムの所有者は横浜市ですし、行政との連携が必要なんです。さらに、2020年の東京オリンピックの野球・ソフトボールの試合会場に決まったこともあり、かなり密にやり取りを行っています」

少年B「東京オリンピックに! それは盛り上がりが期待できますね」

河村さん「はい、でも、わたしたちとしてはそこがゴールではないんです。2020年はいろんな人が尽力してくれますし、必ず素晴らしいものになると思います。だからこそ、わたしたちは2020年以降を盛り上げるためにどうするか、ということを考えないといけません」

少年B「目指すのはもっと先だと」

河村さん「はい。例えば2020年までに『ウィング席』と呼ばれるスタンド席を両翼に増設予定なのですが、オリンピックのことだけを考えるならもっと多くの席があっても良いかもしれません」

 

2019年に完成したライト側ウィング席。来年にはレフト側も完成し、合わせて約6000席増となる

 

少年B「単純に大きくすればお客さんも入るし、大は小を兼ねるのでは……?」

河村さん「確かにそうなのですが、例えば5万人収容だけど空席が目立つ球場と、3万5000人収容で満員の球場なら、後者の方がいいという考えを持っています。ファンの方からも『球場が盛り上がった時の一体感が楽しい』という声をいただいているんですよ」

少年B「なるほど。一体感は満員のほうが味わえますね」

河村さん「もちろん、約6000席増えると今の稼働率97%を維持するのも大変です。稼働率を100%に近づける努力をしつつ、わたしたちとファンのみなさんの持っている熱をうまく街と紐付けて、横浜の街自体がもっと元気になるという仕組みを作っていきたいですね」

 

おわりに

ⒸYDB

 

野球だけにはとどまらず、横浜の街づくりにまで関わる横浜DeNAベイスターズ。

その視点や提案力が、「東京からきた若いIT企業」のイメージをがらっと変え、今では横浜市民のみなさんから深く愛される球団になったということがよくわかりました。

 

「野球以外も楽しめる」DeNAベイスターズの試合を見に、ぜひとも横浜スタジアムに足を運んでみてはいかがでしょうか。観戦の際はあらかじめ前売り券を購入すれば確実!横浜スタジアムでの観戦スケジュールはこちらからご覧ください。 

 

ちなみに、広報の河村さんに聞いたスタジアム周辺のおすすめスポットはこちら。

 

 

みなさん、ぜひ野球観戦と一緒に横浜の街も楽しんでくださいねー!