こんにちは。ライターの友光だんごです。

 

7月に西日本を襲った豪雨災害について、連日のニュースで多くの方がご存知かと思います。土砂崩れや河川の氾濫などによる死者は200人を超え、多くの人々が避難生活を強いられています。

 

僕の地元である岡山県も、倉敷市真備(まび)町などが甚大な被害を受けました。

実家のあるエリアは大丈夫だったものの、災害が少ないといわれる岡山で、まさかこんな事態に……と息を呑むような姿を映し出す画面に釘付けになっていました。

 

被害を受けた人たちのために何かしたい……でもどうやって……と悶々としていたある日、とある企画の存在を知りました。

 

その名も

「大雨被害から立ち上がろう!

ゲストハウスめぐり手ぬぐいプロジェクト」

 

今回はこのチャリティプロジェクトについて、詳しくお伝えします!

被災地のゲストハウスをめぐって応援!

このプロジェクトの発起人は、岡山県倉敷市の美観地区でゲストハウスなどを経営する犬養拓(いぬかい・たく)さん。

 

チョンマゲのビジュアルもさることながら、あの犬養毅のひ孫でもあるという情報量の多い人です。詳しくはジモコロのインタビュー記事をどうぞ。

 

犬養さんのゲストハウス「有鄰庵」。カフェも併設され、美観地区の人気スポット

 

そんな彼が立ち上げたプロジェクトは、

 

手ぬぐいを持って、豪雨で被害を受けた地域のゲストハウスを巡ろう!

 

というもの。犬養さんがまとめた資料によると……

豪雨の被害の大きさが判明し始めた7月上旬から企画はスタートし、現在、14のゲストハウスが参加を表明しています。

 

制作中の手ぬぐいには、各ゲストハウスのロゴがプリントされています(画像はイメージです。完成版とは異なる場合があります)。

 

プロジェクトを立ち上げた経緯とは? 狙いの一つに掲げる「風評被害」とは? 犬養さんに話を聞いてみました。

 

知らせること、そしてお金になることが目的

「なぜ今回のプロジェクトを立ち上げたんですか?」

豪雨の影響によるお客さんの減少と、豪雨による直接的な被害のあった地域への支援が目的ですね。前者でいうと、今回、被害が大きかった真備町と美観地区は同じ倉敷市。美観地区への被害はほぼ無かったのですが、うちの宿では大雨の直後からおよそ40件の予約キャンセルが発生しました

「それはかなりの痛手ですね…」

 

「豪雨直後の有鄰庵のツイートも、大きく拡散されていましたね」

「海の日の三連休や、夏休みの行楽シーズン前でしたから、観光施設にとってお客さんの減少は大きな痛手です。そこで『チャリティ手ぬぐいを持って、被害にあった地域のゲストハウスを巡る』というコンセプトを考えました」

「観光地やゲストハウスの側から『うちへ来ても大丈夫ですよ!』とアピールする試みということですね!」

「これはたまたまなんですが、日本各地の『ゲストハウス巡り』をテーマにした冊子を企画していたんですよ。というのも、ゲストハウスを利用する人は、他の旅先でも地元のゲストハウスに泊まる人が多いんです」

「そういえば、ゲストハウスに泊まった時に、スタッフさんから他の地域のゲストハウスを紹介してもらうこともよくありますね」

「ええ。だから『ゲストハウス巡り』の需要はあると思っていました。そこで大雨が起きたんです」

「では、その冊子のアイデアを急遽転用した形なんですね」

「そうですね。そして、今回制作する手ぬぐいの売り上げは参加ゲストハウスの収益になるため、被災地への支援にもつながります。まずは『遊びに行っていい』と知ってもらうこと。そして、被災地のお金になることの2つを狙いとしています

 

ゲストハウス巡りを通じて、被災地を応援しよう

倉敷を『食べて応援』するイベントの開催や、『#美観地区は元気だったよ』というハッシュタグを使った情報発信など、犬養さんたちの会社では様々な形で豪雨災害の支援に取り組まれていますよね」

「美観地区で仕事をする人間として、自分たちにできることを考えて活動しています。うちのゲストハウスでは、シャワールームを被災された方向けに無料で開放したり、真備町の災害ボランティアの方向けの格安宿泊プランも用意しています」

 

「僕個人としても、東日本大震災や熊本地震のときにも個人でチャリティTシャツを作って販売していました。チャリティ企画の流れもわかっているので、今回いち早く声を上げられました。有鄰庵が取りまとめることで、他のゲストハウスの負担もできるだけ少なくできたらと」

「取り組みとしても素晴らしいですが、ゲストハウスの方たちの横のつながりが可視化される、面白いプロジェクトだと思います」

ゲストハウスは地域との結びつきが強く、被害のあった地域に対してなんとかしたいという意識が大きいところも多いです。だからこそ、こうしたチャリティの担い手として連帯するのは、意味のあることかなと」

「まずは純粋に、ゲストハウス巡りを楽しんでほしいですね」

「そこから被災地にお金が落ち、少しでも力になれたらと思います!」

 

 

プロジェクトへの賛同コメント

さて、今回のプロジェクトに関して、ローカル/ソーシャルの分野で活躍する皆さんから賛同の声が集まりました。ご紹介いたします!

 

ソトコト編集長 指出一正さん

犬養さんのこの手ぬぐいプロジェクトを強く応援しています! 東日本大震災が発生した2011年以降、ぼくはそれ以前から出かけていた東北の中山間地域に、さらに頻度を高めて年に何度も渓流釣りに通い続けています。入漁券を購入し、その土地の宿に家族で泊まり、温泉施設を使用して、地元のお店でごはんを食べ、お土産を買う。復興と風評被害の払拭は、一個人として無理なくできることを、とにかく楽しみながら長く続けることが大切です。参加されたゲストハウスに、たくさんの方が遊びに行かれることを願っています!

 

編集者・Re:S(りす)代表 藤本智士さん

今回ほど、東京中心のマスメディアの限界を感じたことはありませんでした。講演予定だった島根県の江津や、以前お世話になった愛媛県の大洲や、広島や地元兵庫など、様々な土地で局地的且つ広域にわたり甚大な被害を受けていることを知ったのはSNSがあったからこそ。これが関東圏だったらまた違ったんだろうかと考えてしまいます。しかし、だからこそネットメディアの使命を強く感じました。メデイアに携わる者として、今回の企画を応援したいと思います。

 

灯台もと暮らし代表 鳥井弘文さん

今回の豪雨災害について、インターネットやラジオなどさまざまなメディアを通じてその状況を見聞きする中で、その被害の大きさにとても驚かされました。しかし、自分が何かすぐに役に立つような行動ができるわけでもなく、ずっとモヤモヤしていたところ、ジモコロさんから今回の企画について教えていただき、すぐに応援したいと思いました。被害に遭われた地域の方々が少しでも早く、いつも通りの生活に戻ることができるよう陰ながら応援しております。

 

エッセイスト・ライター・フォトグラファー 伊佐知美さん

日本に帰ってきました。伊佐知美です。西日本にたくさん雨が降っているとき、私は旅の途中で、ちょうど南米大陸からヨーロッパへ移動していました。遠く離れた土地で、ただただ心配することしかできなかったあの時。その後日本へ帰国して、ボランティアへ行きたいな、何か募金なども、と考えているときに、犬養さんのこの企画のお知らせをジモコロさんにいただきました。
「みんながやれる時に、やれることを、やれる範囲で」。今すぐに岡山県を訪れることが正解なこともあるし、落ち着いてから、という選択もあると思います。
じつは私、倉敷市にずっと行きたいなと思いながら、まだ行けていないんです。先日の詩歩さんの訪問も印象的でした。
手ぬぐいは、オンラインでの販売はされないのでしょうか? 送料や、余計なお仕事を増やしてしまうだけかな……。もしあるなら、東京で買いたいひともたくさんいるんじゃないかな。私はほしいな。
「まずは『遊びに行っていい』と知ってもらうこと」。そうそう、「岡山に遊びに行っていいんだよ」と知ることが、まず大切なのかも。「どうしたらいいのかな」と迷っているひとに最初の一歩を踏み出させてくれる企画を、犬養さん、ありがとうございます。
すごく昔、駆け出しライターの頃にお会いした犬養さん。元気かなぁ。会いに行かなきゃなぁ。がんばって、と偉そうに言うことはできないけれど、何かできること、したいな、しよう、って改めて思わせてくれました。ありがとう。
私の地元は、昔の中越地震・中越沖地震のエリアなのですが、日本で生き続けていきたいよね、だからみんなで一緒に守ろう、日本という場所を、と私は思っています。

 

トラベルグラファー・ライター  古性のちさん

今回の出来事に「私も何かしたい!でも、何ができるかな…」と私のように思っている人は沢山いるはず。まずは難しいことは何も考えず、元気に倉敷に遊びにいきましょう。あなたのワクワクした気持ちが、この町の力と元気になるはず!倉敷には、何度でも帰りたくなるような心がゆるむ空気と、歩いているだけでワクワクする場所が沢山あります。ぜひ体全体で感じてみてください。素敵な手ぬぐいを片手に。

 

働き方実験家・自転車旅ライター 松田然さん

「遊びに来て、美味しいもの食べたり観光してくれるだけでも本当に嬉しい」
東北の震災の後、東京から自転車で被災地に行った際に現地の方に言われた言葉。
今回の西日本豪雨災害でも、被害に遭われた方の苦労を考えると胸が締め付けられます。でも、僕らができることは自粛するより、現地に行って観光したり、応援していることを伝えることだと思います。微力ですが、今回の取り組みに賛同します。

 

公務員・編集者 安藤巖乙さん

学生時代に海外自転車旅行をしていたとき、よくゲストハウスに泊まっていました。地域の情報を得ることができ、世界中の旅行者と知り合える場所に泊まることは、とても楽しいひと時でした。瀬戸内海周辺を中心とする今回の豪雨で被災した地域が、地域の顔となるゲストハウスから元気な姿を発信することで、きっと世界中の人たちに届くはず! これからも地域の魅力をゲストハウスからどんどん発信していってほしいです。応援しています!

 

元ことりっぷwebプロデューサー 平山高敏さん

いくつかのゲストハウスに泊まったり話を聞いたりして感じたのは、ゲストハウスの役割がその土地を知りたい旅人に対しての「観光案内所」であると同時に、地域を盛り上げたい人たちが企てるための「集会所」でもあるということでした。それは乱暴に言ってしまえば地域の「楽しい」が流れ始める場所なのだということ。今回の取り組みによって楽しい流れが取り戻され、そしてその先で新しい旅人がこの流れに乗ってくることを期待しつつ。

 

発酵デザイナー 小倉ヒラクさん

中国地方はゆっくり歩いて楽しい、関東にも関西にもない魅力いっぱいの大好きな土地。ご飯もお酒も美味しいし、各土地に面白い人たちがいる。この企画をきっかけに、ぜひこの土地の面白さを知ってほしい!応援!!

 

ライター・編集者 望月優大さん

豪雨に襲われた西日本の広大なエリアは一つひとつの小さな「ローカル」の集積体であり、その広大さゆえに報道や支援が分散してしまいがちなのが現実だと思います。そんな各地のローカルに点在する「ゲストハウス」に注目し、オリジナルの「手ぬぐい」を通じてその間に連帯をつくっていこうというプロジェクトのコンセプトに共感しました。プロジェクトを立ち上げた犬養さんはこれまでも様々な形で、時に人から見えないところで、より良い社会のために想いを持って活動されてきた方です。応援しています。

 

プロジェクトのスタートは8/27(月)からを予定

さて、最後にプロジェクトの概要を改めてご紹介します!

 

【プロジェクト名】

大雨被害から立ち上がろう!ゲストハウスめぐり手ぬぐいプロジェクト

 

【手ぬぐいについて】

8/27(月)から各ゲストハウスで販売開始予定

・販売予定価格は1800円(税込)

有鄰庵のECサイトでネット通販あり

 

【参加ゲストハウス】

有鄰庵(岡山県倉敷市)

かくれ宿 Yuji-inn(岡山県倉敷市)http://yuji-inn.com/

ゲストハウスいぐさ(岡山県早島町)http://www.igusagh.com/

KAMP(岡山県岡山市)http://kamp.jp/

あわくら温泉 元湯(岡山県英田郡西粟倉村)http://motoyu.asia/

庄屋屋敷とくら(岡山県笠岡市)https://tokura.localinfo.jp/

ELEVEN VILLAGE(岡山県高梁市)https://www.elevenvillage.org/

広島ゲストハウス縁(広島県広島市)https://hostel-en.com/

バックパッカーズ宮島(広島県廿日市市)
http://www.backpackers-miyajima.com/

広島ゲストハウスroku(広島県広島市)http://roku-hostel.com/roku/

大山ゲストハウス寿庵(鳥取県西伯郡)
http://www.daisen-guesthouse-juan.com/

タイヨウとうみ(香川県三豊市)https://www.12sunsea.com/

シクロの家(愛媛県今治市)http://www.cyclonoie.com/

・汐見の家(愛媛県越智郡)http://shiomihouse.com/

 

【問い合わせ先】

ゲストハウス有鄰庵 電話:086-426-1180/メール:guesthouse@yuurin-an.jp

 

 

プロジェクトに興味を持たれた方は、ぜひこの夏、参加ゲストハウスへ遊びに行ってみてください! 一人ひとりができることから、被災地を応援しましょうー!

 

写真:藤原慶