>入門シナリオ『腐敗の影』で遊んでみよう!

というわけで、実際に編集部で遊んでみることにしました

 

まずはキャラを作成

 

公式HPでも紹介されている、有志によって作られたペーパークラフト(顔は編集部で貼り付けました)

 

オケモト|WEBライター

今回はダンジョンマスターを務める

原宿|WEBメディア・オモコロ編集長

今回はクレリックを務める

加藤|WEBディレクター

今回はローグを務める

ダ・ヴィンチ・恐山|WEBライター

今回はファイターを務める

 

「さあ、今回は初心者用の『腐敗の影』というシナリオで遊んでみましょう!」

「TRPGって初めてやるなあ」

 

※ここから先は『腐敗の影』のネタバレを含みます

「冒険者のパーティであるみなさんに、1人の行商人が声をかけてきました。『ある村まで積荷を届けたいので、道中の護衛をお願いしたい』とのこと。期間は一週間です」

「護衛か~。あんまり興味ないな。めんどくさいし」

「でも、困っている者に手を差し伸べるのも、冒険者の務めではないのかね?」

「まあ話だけでも聞いてやろう。まずは報酬を教えてもらおうか」

「(この人たち予想以上にロールプレイしてくるな)一人あたり、日本円でいうところの5万円程度でどうでしょうか? 積荷の自家製チーズやソーセージも食べていいです」

 

「はぁぁ~~~~~っ!??」

「一週間も拘束されて5万円だと、さすがに割に合わないですね」

「しかも絶対モンスターとか盗賊とか出てくるし」

「もっと報酬を上げろ!! 労基に駆け込むぞ」

「わかりました。ではサイコロの出目と、ステータスの“魅力”を足した数値が規定数値に達していれば、値段交渉に応じましょう」

※シナリオに「これくらいまでならこういう条件で報酬をアップしても良い」というアドバイスが書かれてたりします

「じゃあ魅力値の高い僕が振ります」

 

コロッ……

 

「おっ、交渉成立です! 一人当たり数千円程度のお気持ちですが、報酬を上乗せします」

「マジでお気持ちだな」

「仕事内容を詳しく聞きたいのだが。道中 危険はないのか?」

 

「いい質問ですね。目的の場所は小さい村で、街道の整備が行き届いていません。野獣などが出る危険性が高いです」

「フッ、望むところだ。野獣などぶっ殺せばいいのだから」

「さっきから恐山が豪傑すぎる。なりきりプレイでいつもと正反対の性格になってる?」

 

「翌日、依頼主と皆さんは共に出発しました。しばらくは何事もなく進んでいましたが、3日目……見晴らしの悪い丘陵地帯に差し掛かった時、不穏な空気を感じ取ります」

「敵かっ!?」

周囲の木立から巨大なネズミが飛び出してきました! 瞬く間に、馬車は3匹のジャイアントラットに取り囲まれてしまいました」

「あ、積荷のチーズとかソーセージを狙ってるのか! 護衛の任務を全うしなきゃ!」

 

急ごしらえの戦闘用のマップ

 

「ひょっとして、この“BOSEのイヤホンケース”は、“馬車”ですか?」

「まあ、駒は何でもいいんですよ。さて、ここから戦闘開始なので、行動順を決めましょう。全員サイコロを振ってもらって……結果は、一番手が加藤さんですね」

 

「じゃあラットに近づいて、ショートソードで攻撃します! サイコロを振って……よし、ヒット確定! 6ポイントのダメージを与えました」

 

「次は私か。ローグがHPを削った個体に、ロングボウでとどめを刺すとしよう。サイコロを振って……7のダメージ!」

「今の攻撃で敵を一匹倒しました」

「良し! どうやらラットの体力値は13以下のようだな」

 

「次はネズミのターンなので、僕が操作しますね。残った二匹はどちらも加藤さんを攻撃します。サイコロを振って……あ、どっちも当たった! 加藤さんの体力、残り6ですね」

「やばい! 次にまた二体とも僕を攻撃して来たら死ぬかも。クレリックー! 回復してくれー!

「いや、攻撃こそ最大の防御。ここは攻撃魔法、セイクリッド・フレイムでネズミを焼き払います」

「セイクリッド・フレイムってどういう魔法ですか?」

「射程内の敵1体に対し、炎のような輝きが降り注ぐ魔法ですね。当たるかどうかは僕(敵側)がサイコロを振って判定します」

 

オケモトがサイコロを振るのに合わせて、突如 呪文を詠唱し始める原宿

 

「神の狩場に集いし精霊たちよ……我の命に従い、清浄なる炎で敵を焦がしたまえ!」

※原宿が勝手に創作した詠唱です

 

セイクリッド・フレイ~ム!!!」

「さぁ! オケモトくんの当たり判定サイコロの数値は!?」

「ハズレです」

 

「外れるんかい!!」

「せっかくかっこいい詠唱したのに」

 

その後、敵も味方も攻撃をミスしまくり、膠着状態に再び原宿のターン

 

「思った以上に攻撃が当たらない。原宿さん、お願いします」

「さっきは魔法を外したし、今回はウォーハンマーで近接攻撃しようかな」

回復してくれー!

「サイコロの目は……おぉ、20! クリティカルヒットです。与えるダメージが倍になります」

 

「うおおおぉ!!!!」

 

「ドーン!!!!!!!!!!!」

「16のダメージ! ラットを倒しました」

 

「よし、たたみかけるぞ! 近接攻撃のグレートソードを食らえ! 14のダメージ!」

「おめでとうございます。全てのジャイアントラットを倒しました! 積荷に多少の被害はあったものの、護衛は成功です」

「やっと倒した~! やったな、みんな!」

「なんで回復してくれなかったの?」

「ドラクエなら数秒で済む戦闘が、これほどの緊張を強いられるなんて……」

「でも話しながら戦闘するの、楽しいですね」

 

「ジャイアントラットを倒した一行は、再び魔物に襲われないよう旅を急ぎます。幸い、その後は何事もなく、無事に村に到着しました」

「これで仕事も終わりだね」

「あまり役には立たなかったけど、報酬はきっちりもらおう」

 

「依頼主は積荷を、納品先である料理店の店主に渡しました……が、チーズが依頼の数に満たなかったことで揉めているようです」

「僕らには関係ないから、この料理店でうまい酒でも飲んでよう。はぁ、仕事終わりの酒は最高だな~!!」

「店主はまだ依頼人に怒っています。『儲けを見込んであんたのチーズを多めに注文したのに、一体どうしてくれるんだ!』」

「これ、ひょっとして私たちのせいかも? ネズミに勝利した時『積荷に多少の被害はあったものの』って言ってましたよね」

「僕らにも責任の一端はありますけど、どうします?」

「フオォォォォ…………」

 

セイクリッド・フレイ~ム!!!」

「ちょっとちょっと!」

「道中でモンスターに襲われたことを説明したら、さすがにわかってくれるんじゃないですか?」

「みなさんが事情を説明すると、店主の怒りも収まったようです。そしてみなさんの実力を信用したのか、ある一人の老人を連れてきました」

「老人?」

「誰?」

 

セイクリッド・フレイ~ム!!!」

「ちょっとちょっと!」

「酔ったらすぐセイクリッド・フレイムするんだよなこいつ」

「老人はこの村の村長で、皆さんに依頼したいことがあるそうです。一週間ほど前から村の付近にネズミが湧くようになったので、その原因を探ってもらえないか?とのこと。報酬は日本円で言う25万くらいです」

「25万!? かなり良いですね」

「フッ、ネズミなど何匹来ようが恐れるに足らん。道中で三匹を屠った我らの力を見せてやろう」

「攻撃 外しまくってただろ」

「ちなみに報酬をさらに上げてもらうことって可能ですか?」

「無理です。この小さな村に蓄えはありません」

 

「なんだと!? 金が無いなら女だ!!」

「魔物の要求じゃん」

「じゃあ僕たち3人の像を立ててくれよ」

「え? う~ん、それでいいなら……クリアした暁には村に像を立てましょう」

「よし、依頼を受けよう!」

「村長によると、村の外れにある洞窟に不審な人物が居ついているそうです」

「では洞窟に行きましょうか」

 

「夜なべして洞窟のマップを作りました」

「夜なべしてこのレベル……」

「がんばったんだね」

 

「洞窟内にはいくつか小さな空間があり、そのうちの一つに入ってみるとガラクタが山積みになっていました。ガラクタは不安定で、触れると崩れるかもしれません。調べますか?」

「じゃあ技能が高いローグが調べます。サイコロを振って……数値は22です」

「成功です! ボロボロになった手紙を見つけました。加藤さん、この紙を読み上げてください」

 

「『同士よ、村を対象にした実験は順調そうだな。だが都市へと放つためにはより多くのネズミが必要となる。引き続き狂暴化と有毒化に励むように。腐敗の加護は我らの元に有り』

「この村を使ってテロの実験をしてやがるんだ! 邪教徒みたいな集団か?」

「お、さすがは僧侶。邪教の噂を聞いたことがあったのでしょうか? サイコロを振って、さらに情報を“思い出す”ことができますよ」

「振ります! ……よし、思い出した」

「クレリックは、“腐敗団”という邪悪な組織の噂を思い出しました。腐敗や毒、病気といったものを用いて、人々に混乱をもたらす集団です」

「この洞窟の奥に腐敗団が潜伏している……?」

 

「ついに洞窟最深部に到達した一行。と、物陰から突如として魔法の矢が飛んできました!」

「なに~~~!!??」

「マジックミサイルで原宿さんに4、恐山さんに3、加藤さんに2のダメージです」

「効くなー」

「みんな体力値10数ポイントしかないレベルだもんね」

「くそっ、何者だ!?」

 

「物陰から現れたのは魔術師と、ジャイアントラット1匹です。さあ、みなさん気合を入れてくださいね。ラスボス戦ですよ!」

「ひょっとして、魔術師の後ろの“消しゴム”が“ジャイアントラット”?」

 

「では一番手の私から。ロングボウでラットを攻撃します!……あ、外れました」

「僕はショートボウで攻撃!……外れた」

「安定のノーコンっぷりですね。僕が操作する魔術師はマジックミサイルを使いますね。加藤さんと原宿さんに6ダメージ、恐山さんに5ダメージ」

回復してくれー!

「ちょっと待って! オケモトくん、いま当たり判定のサイコロ振ってないよね!? 不正では?」

「マジックミサイルは必中(絶対に当たる)という特徴があるんです」

「めっちゃ強い」

 

「僕のターンですね。自分に回復魔法を使います。7ポイント回復!」

僕も回復してくれー!

「私は、剣でネズミを攻撃します。9ダメージ!」

「まだ生きてますね。ショートソードでネズミにとどめを……あ、また空振りだ!」

「次は魔術師のターンですね。マジックミサイルは3回まで使えるのでまた撃ちます。恐山さんに3ダメージ(残りHP2)、原宿さんに5ダメージ(残りHP4)、加藤さん2ダメージ(残りHP3)です」

「全員瀕死だ!」

「こいつ、強い!」

回復してくれー!

「僕のターンですね。ラットにウォーハンマーで攻撃します! よーし、当たった!」

「ジャイアントラットを倒しました!」

 

「残るは魔術師だけですね。弓を撃ちます。ヒット! 6のダメージ」

「僕はショートボウで攻撃だ!……あ~ミスった」

「ローグまったく役に立ってない」

「ひょっとして役に立ってないから回復してくれないの?」

「僕の操作する魔術師は……近接攻撃! しかしミスです」

「マジックミサイルはもう使えませんから、勝ち目が出てきましたよ」

 

「ついにこの時が来たか……今まで封印していた魔法、必殺のガイディングボルトを撃ちます」

「ガ、ガイディングボルトーーーー!?!?」

「ガイディングボルトは、6面ダイスを4回振ったダメージを与えられるという強力な魔法です」

 

「神の御名において我命ず……天上より来る光の英霊たちよ、憤怒の雷(いかづち)で、我が敵を砕きたまえ!」

※注:原宿のオリジナル詠唱です

 

「ガァァァァァァイディング……ボルトッッ!!!」

「当たった!! ダメージのサイコロは3、3、1、4……合計11のダメージ! しかし魔術師はまだ生きてます」

「たぶん敵も瀕死のはず! 恐山、決めてくれ!」

「ここはロングボウで行こう」

「おい戦士!! この期に及んで安全な遠距離攻撃を選ぶかね!」

「だって近づくと危ないし。10のダメージです」

「まだ生きてます」

「タフすぎる! ローグ、頼む!」

「任せて! ショートボウで攻撃します!……あ、ミスった」

「…………」

「魔術師の攻撃もミスしたので、次は原宿さんですね」

「俺に任せろ!! これが最後の―」

 

 

「セイクリッドフレイムだーーー!!!!」

「あっ!! 当たりました!! そして……」

 

「魔術師を倒しました!」

 

「やったーー!!!!」

「マジックミサイルがマジで強かった」

「大接戦だったな」

「おめでとう! 皆さんは邪悪な陰謀を阻止しました。村は君たちに感謝して、上等な食事や酒を振る舞ってくれるでしょう」

「そしてこの村には、我々を讃える像が作られたのだった」

「楽しかったですね。マジックミサイルで瀕死になりながらも、ギリギリで倒せるっていうバランスが素晴らしい」

「他のシナリオをやれば腐敗団のことも詳しくわかったりするのかな? ストーリーもよかった」

「TRPG、おもしろいですね……」

 

まとめ

今回の取材で未知だったTRPGの世界が少しわかりました。

プレイヤーだけでなくダンジョンマスターも体験しましたが、前日の準備段階で「ここがこうなったらこう対応しよう」「ここの戦闘は盛り上がりそうだな」といった感じで、遠足前のわくわく感が味わえてお得な気持ちになれます。

 

みなさんもぜひプレイしてみてくださいね!

 

今回使ったもの

・ダンジョンズ&ドラゴンズ スターターセット

『腐敗の影』

べーシックルールブック

ペーパークラフトのコマ

配布されている簡易マップ

 

詳しい情報はダンジョンズ&ドラゴンズのサポートページをチェック!

ダンジョンズ&ドラゴンズ日本語版公式サポートページ