はじめまして！ ライターのみくのしんと申します。
現在、時刻は早朝6時。前日に職場で飲み会があったため、死ぬほど眠そうな顔で申し訳ありません。
こんな朝っぱらに何をしているのかと言えば、実はとある職業を体験しにきたのです。
それは―
解体作業とは―
新しい建物を立てる際に、古くなった建造物を取り壊して更地に戻す職業。
昔、屈強な男性がハンマーか何か（？）でドアをバキッバキに壊してる映画をみたことがあります。それ以来僕は「あぁ、気持ち良さそうだな。やってみたいな」とずっと思っていたのです。
確か「シャイニング」とかいう映画だったかな？
というわけで、店舗や家屋の解体工事業を行っている『株式会社トーシン』を訪れてみました！ 今日はこちらで、一日職業体験させてもらいます！ 解体するぜえぇ！
株式会社トーシン
埼玉営業所｜〒352-0011 埼玉県新座市野火止2-4-54
株式会社トーシンの社長・柴山さん
「はじめまして。27歳フリーターの、みくのしんです」
「はい、よろしくお願いします。一日だけですが、頑張ってくださいね！」
「あの～僕、握力27kgなんですけど、大丈夫ですかね？（27kgだと小学校高学年くらいの握力）」
「大丈夫」
「まだ1ミリも働いてないのに、そこまで断言する？」
「どの仕事にも言えるけど、やる気があるかどうかが一番重要だから。難しく考えないで、とりあえず現場に向かいましょう！」
「ｷｭｳﾝ…心強い…/// それでは今日一日、よろしくお願いします！！」
では、さっそく作業現場へ向かいましょう。今日の現場は事務所から車で30分くらいの場所にあるそう。
僕は、作業員の方が運転するダンプに同乗させてもらうことになりました！ よろしくお願いしま～す！！！！
ぶぅううう～ん……ブロロロロ……
「……」
「……」
チッカチッカチッカ
「…………」
「…………」
ブロロロロ……
「……」
「……」
ブロロロ～……
「………………」
「（気まじぃ……）」
広すぎて僕がフィギュアみたいに見えますが、ここが今日の現場です。何もない！
解体状況でいうと、今は三分の二くらいが終わっているそう。
ちなみにこれが2週間前、解体スタート時の写真。立派な家が建ってたみたいですね
こちらは1週間前の現場。幻影旅団の基地じゃん！ すっげえ！
「大体どれくらいの期間をかけて解体するんですか？」
「このくらいの建物なら3週間近くで解体できるね」
「3週間！？ 思ってたより早い！ あの、少し気になるんですけど、コンビニとかってどれくらいで解体出来るもんなんですかね？」
「コンビニかぁ。解体した事無いけど、多分1週間もあれば余裕で解体（こわ）せるかな」
「作るのは時間がかかるのに、破壊は一瞬……人間関係と同じですね」
「？」
就業開始～午前休憩まで
朝礼で今日の作業を確認し、いよいよお仕事体験スタート！ 基本的には8時～17時までが就業時間です。
「まずはガラ出しを手伝ってもらおうかな」
「？？？ガラとはなんですか？」
「簡単に言うと解体作業で出たコンクリートのゴミだね。大きいガラはユンボ（ショベルカー）を使うんですが、細かいのは人間の手でやるんです」
細かいって聞いてたけど、結構重い！
自分以外の全員がスゲーでかいガラを持ち運んでる！ よし、僕も……！ 僕…………も……
ポトッ……
ふう……
ガラをある程度集めたら、ユンボが一気にダンプカーに積み込みます。
ドザァァ……！
“ガラをユンボで運び、トラックの上で荷を解く”
単純に見えますが、このコンビネーションをスムーズに行うには、相当な経験が必要です。
「みくのしん君も、トラックの上に乗って作業してみない？」
「ありがとうございます！ 今日は遠慮しておきます！！！ シャッス！！」
「まあそう言わずに！ せっかく体験にきたんだから」
社長の図らいで、トラックの上での作業を手伝わせていただける事になりました。ありがとうございます……。
ゴワアァァアアンッ！！！
「恐怖恐怖恐怖！！！ こわいって！！！ 大丈夫！？ コレ死なない？」
「大丈夫だって！！ ただ、ユンボの真下には行かないように。コレはマジで」
「えぇえぇええ～…」
ズザザザザザザザザ………
ガンッ！ ガジャラララララガゴ！！！
ザラハァ…
「…………はい？」
「ワ～ッハハハハ！！上出来上出来！！」
「はぁ～すごい迫力だった……でも、ユンボのアームが近くに寄ってきた時は、なんか、凶暴な恐竜が心を許して頭を垂れたみたいで可愛いですね」
「その表現は全然わかんないけど、今ユンボを運転してる人は、この道40年のベテランなんですよ。ムチャクチャうまいから、全然怖くなかったでしょ？」
「40年も！ こんなにアームの操作が上手いってことは、ひょっとしてUFOキャッチャーとかも上手いのでは！？」
「いや、ド下手」
「ド下手なんかい」
ここで、10時になったため午前の休憩。
トーシンでは、お昼休みの1時間とは別に、10時と15時に30分ずつの休憩が入ります。休憩時間、多くね？
休憩で飲んだスポーツドリンクは、一生忘れることがないだろってくらいうまかったです。
解体を生業とする漢（おとこ）たちは、一体どれほどハードボイルドな話をしてるんだろう？と興味があったのですが、ド下ネタが多かったので僕でも楽勝で参加できました。
この休憩で、かなり職場に馴染めた気がします。こういうのが肉体労働の良いところですね！
午前の作業再開～昼休みまで
「よし、じゃあ作業を再開しようか！」
「次はどうしたらいいですか？」
「さっき積んでもらったガラを、回収場へ持っていくのに同行してもらいましょう」
このダンプに、午前いっぱい集めたガラが積み込まれています。
同行させてもらうドライバーの方にも挨拶して、と。よろしくお願いしま～す！！
ブロロロロ……
「……」
「……」
ブロロロロ……
「……」
「……」
ブロロロロ……
「あ、あの……え～～～っと、好きな映画とかって……あります？」
「…え？ 映画？ う～ん……映画、あんまり見ないんだよね」
「あ……」
「今までの人生で、映画館に行ったのは一回だけだなぁ……」
「ちなみに、その一回は何の映画を観たんですか？」
「MASK（マスク）」
「そうですか……」
「うん」
到着しました。
ここは「リサイクルセンター」。ガラを回収・粉砕し、また再利用できるようにするところです。様々な会社がこの場所へガラを捨てに来ます。
広大な敷地は砂と石塊で埋め尽くされ、粉塵で煙る中を重機が行き交っています。シンプルにカッケー。男の心、ユンボに鷲づかみっ！
ゴゥン…ゴゥン…
ガラッ…
ドガララララアアアァァ！！！ドラァ！！
「ウオオオ！！！すげえ！」
「はい終了！ それじゃ現場に戻りましょうか。その前に、ちょうど昼休憩だから、コンビニで何か食べようかな」
カラダ動かしてると本当にごはんがうまい！ 何を食べても究極のメニューです。
この作業員さんに聞いたところ、解体業には大きく分けて2つの職種があるそうです。
1つは「現場」＝実際に現場で手や重機を使って解体する人。この中でさらに「作業員」と「重機オペレーター」に分かれます。
もう1つは「ドライバー」＝解体で出たゴミなどをリサイクル場なんかに持っていくのを何往復も繰り返す役割。
※もちろん、それだけをやるということではなく、例えばドライバーの人も運転以外の時は現場の手伝いをします
午後の作業開始～午後休憩まで
リサイクル場から戻ってきました。ふと見るとホースで水を撒いてる人が……？
「あの、ちょっと聞いてもいいですか？ あそこで水撒いて遊んでる人は何なんですか？」
「遊んでるわけじゃないよ！ 水を撒いて濡らしておけば、粉塵が舞い上がらないんです。粉塵が舞っちゃうと、近隣の方の迷惑になるからね」
僕も水撒きをさせてもらいました。こりゃ～楽だわ。
ついでに水 飲もっと。は～ウんメー！
でもチョロチョロとしか出ないな。もうちょっと……
ダワッフ！！
「何やってんの？ マジで」
「すいません……」
続いて呼ばれたのは現場の隅っこ。
ユンボなどで手当たり次第に掘削してると、ガス管などを傷つけ、“終い”になってしまいます。そのため、ガス管の周辺は手作業で掘っていくんだそう。
「スコップだろうとガス管傷つけちゃったら大爆発するから気をつけてね」
「そんなんばっかりかよ。ちょっと慣れたわ」
一心不乱に掘り続けていると、作業員の人に「よく頑張ってくれるね～」と褒めてもらいました
が、今までの人生で使ったことない筋肉を使うせいか、この作業はド直球でしんどかったです
「アラバスタで砂掘りしてたトトおじさんかよ！ 砂に大敗かましてるわ」
「すごい汗かいてるね……よし、ちょうど休憩時間だから、水でも飲んできてください。熱中症が一番怖いから」
「やったー休憩だー！！ 水、水……っと！！」
「いや、マジで誰？」
「僕です。みくのしんですよ。少し頭皮が解体されちゃってますが（笑）」
「あぁ、うん」
「ウケもせんのかい」
最初は30分過ぎた段階で「これは体力的に無理かも」と思ったんですが、気づけばあと1時間半で作業終了。
頑張ろう！
午後の作業再開～終了まで
作業再開後は再び荷台に乗り、ハンマーで大きいガラを小さくする作業をします。
これこれ、こういうのがやりたかった！
この大きいガラを―
ドゴォッ！！
このように壊していきます。そうすることでかさばらなくなり、より多くのガラを積むことが出来るわけですね。
「コツとしては端の方から少しずつ崩していくイメージだね！」
「なるほど！ 端から攻めていくことでより細かく砕く事ができるんですね！」
「あと、ハンマーでガラを割る時に、ドロが顔にかかることがあるから、アタックの瞬間は目に気をつけてね！」
「またまた～！ ハンマーで叩いてドロなんてかかります～～？（笑）」
よっしゃ行くぞオラァァ…！！
どっこいしょお！！！
うおおぉぉぉ最高～！
もいっちょソラァァァ～～！
ダッシャーーーーー！！！
破壊のカタルシスが両腕にジ～ンと……！
あれ？
「めっちゃドロ飛ぶじゃないすか！」
「言ったよね？」
水撒き用のホースで顔を洗います。もう完全に職場に馴染んできました！ 緊張もなくなってきたし、ここからは「使えるやつ」になるぞ！
と思ったら、
ここで―
終わった……！
作業を終えて
「おわったー！！ もうヘトヘト……」
「お疲れ様！！今日はどうだった！？」
「マジで疲れました……運動不足がたたってます」
「ハハハハ！！それじゃ事務所の方に戻ろうか！」
「では、本日の給料をお渡しします！ 本来は日雇いはやってないんだけど、今回は『1日分に換算した場合のギャラ』を渡しますね」
「よっしゃぁ～！ い、いくらですか？」
「1万円です！！」
「うわぁ、ありがとうございます！ 全然役立たなかったのに……！ ちなみに、新人の給料っていくらになるんですかね？」
「最高だと年収600万くらいかな……」
「600万！？すげ！！そんなに！？」
「ユンボに乗れるとか、即戦力になるスキルを色々持ってればって話だけどね。ちなみに免許取得なんかはサポートするよ！」
「夢あるなぁ」
「うちはちゃんとボーナスもあるし、社員旅行もある。仕事仲間は家族だと思ってるんです」
「思ってたんと違う。もっとカイジの地下強制労働施設みたいな世界かと……」
「失礼だな！（笑）」
ということで、しんどかったけど充実した一日体験が終わりました。
最後に一日体験して気づいたことを書いておきます。
・年齢も学歴も関係ない、大事なのはヤル気だけ
ただし高給がほしければ免許や資格の取得を（サポートしてくれます）
・体力はめちゃめちゃ必要
ただ、まだカラダができてなくて一番しんどいハズの初日ですら乗り切れました。なので慣れたら何とかなると思う
・服装は長袖・長ズボンで
服の素材はスポーツ用のやつ（汗を吸い込んで重くならないやつ）がおすすめです
・現場はいつも同じではない
今回体験させてもらった現場も、初日と終わりかけでは全然違うそう（ちなみに今回のは楽なほうって言ってました）。また、屋外だけではなく、屋内での内装解体もあります
・映画は「MASK」だけで十分
ジム・キャリーは最高
また、解体と言っても「作業員」だけではなく「重機オペレーター」や「ドライバー」と役割があります。
モデルとしてトーシンさんの例を挙げると、
重機オペレーター｜日給12000円～
解体作業員｜日給10000円～
ダンプ運転手｜日給10000円～
こんな感じ！ ※2017年10月現在のデータです
解体に興味が出た方はぜひチャレンジしてみてください。
現場からは以上になります！ ありがとうございました！
（おわり）
※今回のレポートは、あくまでライターが体験させてもらった現場に限定したものです
