こんにちは、ジモコロ編集部です。

ジモコロの過去記事に改めてスポットを当てていく「まとめ」シリーズ。今回のテーマは「一次産業」です。

 

農業、林業、水産業などなど……日本人の「衣・食・住」を今までもこれからも支え続けてくれる超重要な仕事たち。

 

しかし昨今、サービス業や通信業などの第三次産業が活発になっているのは周知の事実。そうした中で一次産業はどうなっているのか?

そしてこれからどうなっていくのか……?

 

いろんな視点から一次産業を見ることができる、10本の記事を紹介します! いろんな方の濃い生きざまを一気に味わえる、お得な内容ですよ!

 

一次産業って面白い!

「金がないなら稼げ」元ヒモのマッドサイエンティスト農家が語る人類改造計画

 

まずは山形県の「マッドサイエンティスト農家」こと山澤清(やまざわ・きよし)さん。

 

旅館に婿入りした元ヒモで、日本で初めてハーブを育てた人で、20万平米の農場で600種類の野菜を育てていて、製造するオーガニック石けんは皇后さまも使ったことがあって……

のっけから情報量がすさまじいー!

 

両足に2kgの重り。曰く、「重りつけて生活してっから筋肉ボッコボコだよ」

 

「ポールダンスやったことある? ピッて乳首が上がるのよ」

ここの野菜を使ったレストランの女性客のために備え付けてあるらしいです。このご時世、ギリギリの展開についていくのがやっと。

 

もちろん、ただの「尖った人」ではありません。

新品種に淘汰されていく在来種の種を保存する「シードバンク」をはじめ、人間と自然との関わりを深く考えておられる山澤さんの仕事と言葉には重みがあります。

 

お次は「伝説」と呼ばれる農家さんの記事。

 

【伝説】クワガタとタケノコで大稼ぎ! 謎の農家「風岡直宏」はなぜフェラーリを買えたのか?

 

クワガタとタケノコでフェラーリを2台買った、静岡県の風岡直宏さん。

子どもたちにクワガタを売る姿は「地元のいいあんちゃん」風ですが……

 

1990年代のクワガタムシブームで一発当てて年間3,000万円の売上を記録、さらにタケノコでも当てた超すごい人。

 

自然に任せるのではなく、年間300日以上は収獲と手入れのために山に入る。タケノコを守るため、イノシシとも戦う。インターネットを使わず、「鮮度」と「安定供給」を武器に口コミで顧客を広げる……。

 

人並み外れた努力と商売運のなせる技なのでしょうが、時代の流れに負けない一次産業の姿を見た気がします。

ちなみにフェラーリは2台とも売ってしまったそうです。残念!

 

お次はこちら!

 

わたしのパパはヨガきこり

 

ライター・ナカノヒトミが実の父親を取材した記事です。身内が取材対象ってすごい。

 

林業の中でも、身体一つで木に登って伐採する高所での「特殊伐採」を生業にしているナカノのパパ。圧倒的な身のこなし…!

 

そしてこれ。

いや、「手だけで体を支えてる風に見えるトリック写真」とかじゃないです。ガチ写真です。超人。

これが前職のとき始めたヨガの賜物(たまもの)。
結果として「伐採のための平常心を養えた」とのこと。かっこよすぎる……!

 

特殊伐採も最初は自己流だったそう。

「遠回りでも、自分でやるのが俺の仕事のやり方だね」と語るお父さんの姿勢……見習いたいと思います。

 

一次産業の問題って何なんだろう?

さて、上の3つの記事では「尖った」従事者を紹介してみましたが、一次産業の実態は明るいことばかりではありません。

 

大型紙と食べ物がセットで送られるメディア『東北食べる通信』の高橋博之さんにお話を伺った記事がこちら。

 

「キツい」「稼げない」「結婚できない」…5K問題で農漁業の現場から人が消える日

 

「一次産業従事者が減り続けている」という問題。

その原因としては「高齢化」のイメージが強いですが、それ以上に若者の一次産業離れが深刻とのこと。

 

きつい、汚い、かっこわるい、稼げない、結婚できない……そんな「5K」のイメージがある一次産業を支えてくれているのは、今は外国人労働者。

それもやがていなくなり、ロボットが多くを支えることに……?

 

そんな未来図を覆すためには、一次産業の仕事の価値を広く発信していくこと。すなわち、消費者と生産者との距離を縮めていくことが必要だと語る高橋さん。

 

まさにジモコロのようなメディアの役割…!!気が引き締まる思いです。

 

それでは、リアルな一次産業の現場をもっと見ていきましょう。

 

これが農業のリアル!

【人情ドラマ】父親の病気をきっかけに家業を継いだ「新潟の若手コメ農家」のリアル

 

さて、新潟県といえば……

もちろんおコメ!ライターの長島さん、おコメに混じって嬉しそうですね(?)。

このコメづくりの現場にも押し寄せる一次産業離れの波ですが、新潟在住のコメ農家・佐藤裕樹さんは「後継者問題は機械(システム)で対処できると思う」と言います。

 

とはいえ機械を扱うための訓練は欠かせないし、これからは管理の効率をよくするための区画整理なども必要になってくるとのこと。

若手の農家さんも、戦っています。

 

「俺たち人間は退化しとる」飛騨のウシ飼いが語る”土と内臓”の話

 

岐阜県で飛騨牛の『育種』、つまり繁殖させる仕事を行っている熊崎光夫さんは『循環する農業』のお話をしてくれました。

 

牛のフンなどの有機肥料ではなく、化学肥料を使っている現代の農業。

しかし、長期的な視点で見ると、化学肥料を使ったほうが、有機肥料を使っている土よりも質が落ちているというデータがあるそうです。

 

「画一的なものではなく、その土地に合った農業を」

第一線にいる方の言葉は、説得力も段違いです。

 

成功例から未来を考える

続いては農業、漁業、林業の各ジャンルから、一次産業の「これから」を考えるのに役立つ3本を!

 

柚子で売上33億円のゴールドラッシュ! 高知県馬路村に地方創生のヒントがあった

 

まずは柚子で一攫千金をキメた、高知県馬路村のお話。この馬路村、人口はわずか1,000人です。

 

テニスボールかと思ったら柚子だったの図。

 

今でこそ県外や海外からも観光客が訪れるほどですが、馬路村の柚子産業の最初は赤字の連続でした。

しかしその熱がジワジワ広がり、行政と民間が一体となって「六次産業(生産・加工・販売)」の構造を作ることに成功。

 

いつの世も世界を動かすのは「熱意」なんですね…!素朴かつアツい記事です。

 

お次は漁業!

 

2048年に食用魚がゼロに!? 「フィッシャーマンジャパン」が挑む海の革命

 

魚の消費量減少もさることながら、それ以上に深刻なのが漁師の減少です。

現在、日本の漁師の数は16万人。しかも高齢化が進んでおり、今いる漁師の約4割が65歳以上なんだとか。

 

さらに、「持続可能な漁業」への理解度の低さなど……山積する課題の中、まずは漁師と消費者との距離を縮めたい!

 

そこで立ち上がった漁師集団「フィッシャーマン・ジャパン」の長谷川琢也さんを取材しました。

 

こちらは漁師が海から電話でモーニングコールをかけてくれる「フィッシャーマンコール」。

漁師を「フィッシャーマン」と呼び、カッコよくて・稼げて・革新的な「新3K」を目指す彼らの活動はとにかく斬新で面白いです。漁師そのものの再ブランディング!シビれますね。

 

そして3番目は林業です!

「未来の林業は稼げる」北海道・下川町の60年構想が芽吹いた話

 

町の9割を森林が占める、北海度は下川町。

 

「余すことなく木を使う」というポリシーのもと、切り出した木を加工・販売する「林産業」も盛んに行われるこの町。基幹産業である林業・林産業が雇用の受け皿になっており、過疎地域を脱しつつあるとか。

 

何よりすごいのが、昭和29年から準備されている「循環型林業」です。

60年で太い木に成長する針葉樹を60年間毎年植林していけば、伐採⇒植林⇒育成のサイクルを永遠に繰り返せる……!

理論上は分かるけれど、そんな気の遠くなる考えを実行してしまうのがすごい。先人たちの努力×今の住民たちの努力のハイブリッドな町です。

 

おまけ

最後に、ジモコロでは珍しい海外の記事を!

 

【海外】1ヶ月で約40万円も稼げる!? 知られざる「バナナ農園」の仕事

 

オーストラリア北部にあるバナナ農園のお話です。日本のスーパーなどで目にするバナナたちの最初の姿!

 

これを担いでトラクターのコンテナに積み込む超・重労働。

バナナに限ったことではありませんが、ふだん我々が目にする形になるまでの汗と涙を忘れてはいけませんね……。

 

というかさすが海外、色々とスケールがデカい。

 

おわりに

以上、10本の「一次産業」記事をお送りしました。楽しんでいただけたでしょうか?

 

今回まとめるにあたって過去の記事に目を通していた最中、いろんな方の骨太な生きざまを一気に浴びすぎて、面白いやら、情報量に打ちのめされるやら。

ジモコロで取り上げるような、一次産業で目立ってる人たちは本当に「濃い」ですよね。

 

でも「目立たない」生産者の人たちの努力がないと、そもそも日本人の生活は成り立っていない。
それもまた忘れてはいけません。

 

まだ見ぬアツさへの期待、そして生産者への感謝の気持ちを携え、今後もジモコロらしく一次産業を追いかけていきたいと思います。

 

過去のまとめ記事も、ぜひご覧ください〜!