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いつもながらの会社で映画を見るだけの連載、あっという間に9回目です。

 

ネバーエンディング・ストーリー(1985 / 監督・ウォルフガング・ペーターゼン)

ファンタジー小説に実況を入れながら感情移入120%で読みまくる少年の話

 

見るぞ見るぞ見るぞ。

 

【勤務時間中に堂々と見る人の紹介】

ファルコンと聞けばキャプテン・ファルコンが思い浮かぶ、元気な男

ファルコンと聞いても何も頭に思い浮かばない、哀れな男

 

ネバーエンディング・ストーリー(字幕版)

 

「こんにちは」

「今日は誰もがその名を聞いたことがある『ネバーエンディング・ストーリー』。80年代に一世を風靡した映画ですね」

「太古の昔に金曜ロードショーでほんの一瞬チラっと目に入った程度なので、全く分からないですね。ファンタジー映画なんですよね?

「そう……なんですけど、いま想像してるであろう“ファンタジー”を期待すると、割と肩透かしを食らうかもしれませんよ。ふふ」

「なんだあ?」

もちろん、今回も『ネバーエンディング・ストーリー』の結末までの完全なるネタバレがあります」

「何か楽しい記憶が一つずつ消えていく…みたいなシーンがあって、それが怖くて記憶に残ってる気がするんですよね」

「そんなシーンあったかな」

 

■「ネバーエンディング・ストーリー」あらすじ・起

いじめられっ子のバスチアン少年は母と死別し、父親と寂しく二人暮らしをしていた。登校中に目をつけてきたいじめっ子にゴミ箱に詰め込まれるといったひどい目にあう。いじめの果てに古本屋に逃げ込んだのだが、そこで店主のおやじが読んでいた「ネバーエンディング・ストーリー」という本が気になって、懐に入れてその場を去った。万引きである。

 

「ネバーエンディング・ストーリーといえばやっぱこの曲すなあ」

「昔の映画といえば、やっぱり誰もが聞いたことある超名曲と紐付いてますよね〜」

 

 

「ネトフリの『ストレンジャー・シングス』でもこの曲が効果的に使われるシーンがあるんですよね」

「へ〜そうなんですか。見てないけど」

(えっ!そうなんですか?早く見たほうがいいですよ!)ネトフリ加入しててストレンジャー・シングス見てないなんてモグリかよ…、いや、人それぞれ好みがあるだろうから仕方のないことか…?いやでもそれにしたって見てないなんてこと、あるかなぁ…?」

「建前と本音が逆になってますよ」

「でもこの曲がシーズン3で流れた時、私…というか見た人全員は爆笑した後にしみじみしながら『最高のドラマをありがとう…』となるんですよ」

「へ〜。さて、バスチアン少年はシングルファザーに育てられて、寂しい気分で暮らしてます。お父さんも気難しい性格」

「お父さんも仕事仕事でなかなか子どもと接する時間が無くて何しゃべったらいいか分からないんでしょうね」

 

「どでかマーガリンも気になる。どでかすぎて」

「どでかすぎるし、お父さんが牛乳に生卵落として飲んでるのも怖い」

 

「ほんでバスチアン少年、めちゃめちゃいじめられてますね」

「昔の映画ってよくいじめられるよな〜〜」

「原作でのバスチアンは肥満体型やX脚、運動音痴を理由に学校のクラスメートからいじめを受けていたらしいです」

「映画にその要素が無くてなんでいじめられてるかよく分からないことになってますね。かわいすぎるからか?」

「めちゃくちゃ暗くて卑屈なのかも」

 

「ゴミ箱にぶちこまれちゃった」

「洋画でよく見る、路地裏にあってフタがついてるでかいゴミ箱」

「逆襲でもなんでもしてスカっとしてもらいところですね」

「あるといいですね…ふふ」

「あるんだ」

 

ゴミ箱から出てきたら『誰が出てきていいっつった!?』とさらにキレられて追われるハメになり、古本屋に入ることで逃げ切ることができました

「かわいそすぎないか?」

「そしてこの本屋も見るからに怪しいですねぇ」

 

「店主のおやじも怪しい」

「怪しさだけでバックストーリーとかは何も明かされないのも見事」

このおやじが持ってるのがネバーエンディングストーリーっていう本なんですね

「そうなんです!そしてバスチアンはこの本を買う…

 

…のではなく、黙って持っていってしまいました

「万引きだ!」

 

 

■「ネバーエンディング・ストーリー」あらすじ・承

ファンタージェンという世界では、「無」が襲いかかりこの世の全てが飲み込まれるという危機に瀕していた。救ってくれるかもしれない女王様も病気で危篤状態らしい。そんな「無」と戦って世界を救うのはアトレーユという少年だけなのであった。彼は愛馬アルタクスとともに駆ける。果たしてファンタージェンはどうなるのだろうか?…バスチアンは授業をサボって屋根裏倉庫で読みまくっていた。

 

万引きした本を持って、学校の人の行き来がない屋根裏倉庫で読むことに…って学校にこんな倉庫あります!?」

「トイレの個室で読んでもムードが出ないですからね…」

「すみません、あまりにもネバーエンディングストーリーを読むためだけの部屋だなと思って…」

「ホコリだらけの部屋の片隅から毛布を引っ張り出してきましたけど、ダニの温床になってると思うのでやめたほうがいいですねこの行為」

 

「読み始めて数行でもうグイグイ入り込んでる。この目を見てください」

「とにかく感受性が豊かなんですよね、バスチアンくん…あたかも全て自分の目の前で起こってるかのように読んでます」

「読書の才能ありですね」

 

「うわっ!めちゃ覚えてる〜〜〜懐かし〜〜〜岩喰い男!こいつだけめちゃ記憶に残ってるな〜」

「この岩肌は記憶に残りますよね。やっぱ80年代の特殊効果のレトロな感じがとっても良い…」

「名前の無い画面端のチョイ役にもよく見たら凝った造形になってて、すごい存在感なんですよね」

 

「ほんで、バスチアンが読んでる本の中の舞台のファンタージェンは、世界全体に『無』が押し寄せて全てを食い尽くそうとして、崩壊の危機に瀕してるそうです(※何故かこの字幕は『ファンタジア』になってます)

「この抽象的な危機もすごい。無が食い尽くすなんて、今だから何となく分かるけど、当時はけっこう難解だったような気がしますね」

「結局なんなんだ?って感じなりそうですね」

「それにしてもこの右の人…『チャーリーとチョコレート工場』に出てきた妖精ウンパルンパの人じゃないですか?」

「確かに。ちょっと似てる。調べよ(ピポパポピ)。……あ!やっぱりディープ・ロイって人ですね。132cmの身長を活かしていろんな役やってるみたいです」

「やはり…。人の顔を覚えるのが好きなので…」

「『得意』じゃなくて『好き』なんですね」

 

「ここが女王様のいる象牙の塔です。ここで世界の危機に対してどうするかみんなで集まって考えてるみたいです」

「ここに集まってる奴らもいちいち細かい造形で、職人達の技が光りますわな…」

「そして、『世界は無によって滅びる』『女王も病に伏せている』『女王の病を治す手段を見つけるために戦士アトレーユを呼んだ』というトピックスをお知らせしてくれました」

「かいつまんで言うとそうですね」

 

「出たっ!アトレーユ!」

「なんちゅう美しい少年や…」

「世が世なら大変なことになってそうなほどのご尊顔ですね」

「でも80年代なかばですでに俳優を引退してるとのこと」

「色々あったんですかね、当時は…知らんけど…」

 

「そして、蛇が二匹連なるお守り『アウリン』を首から下げて、女王と世界を救うために旅に出ることになりました

「でも特にここへ行けというわけではなく、『女王を治す手段を探せ』っていうの目標がどこからどうしていけばいいのか分からなくて怖すぐる」

「この馬で走り出した方向が完全に目標と真逆だったらと考えるのも怖くないですか?」

「オープンワールドにも程がある!」

 

 

 

 

ナレーション「そして、当てもなく一週間近く旅をしていたーーー」

 

 

 

だから言ったでしょ〜が!!!!!!!!

「4日めぐらいで『ヤバ…収穫なさ過ぎる…』ってならなかったんですかね?」

「まあでも、こんな空の状態で急に放り出されたら、そらそうなりますよね」

「それにしても、世界に危機が迫る中で一週間収穫ゼロはゾクゾクしちゃう」

「あまりにもゼロ過ぎるから、モーラという賢者から知恵をもらいに行くみたいですね

「3日ぐらい経った時に気づいて欲しかった」

 

「そして賢者がいるという沼にやって来たんですが、足場がぬかるみ過ぎて馬が動けなくなってしまいました

「かわいそすぎ」

「全然動けないどころか、沈んでる!」

「え〜!」

 

「めちゃくちゃ沈んでるって!!!」

「やばい!」

「馬も撮影大変だな〜!」

「よく嫌がらなかったですよね」

「え?これほんとに沈んで死んじゃうんですか?」

 

 

ー暗転

 

♪(悲しい曲)

 

「死んじゃった…」

「こんなんアリ?」

「いやでも悲しいっちゃ悲しいんですけど、今まで当てもなく旅してるだけで困難とかも特に無かったんで、そんなに感情移入は出来ない気もしますね…。『ワンダと巨像』のアグロぐらい終盤まで苦楽をともにしてくれたら泣けますが…」

「アグロ死ぬとこ泣けますよね……」

 

バスチアン「グスッ…グスッ…ウッウッウッ…」

 

ズビーッ!

 

めちゃくちゃ泣いとる!!!!!

「没入感すごすぎ!」

「ここは最高に面白いですね…。バスチアンが見てるの文字でしょ?文字だけでここまで号泣できるのは凄すぎる…」

 

 

■「ネバーエンディング・ストーリー」あらすじ・転

でかい亀の賢者モーラから次の目的地を聞いたは良かったが、アトレーユは窮地に陥ってしまう。そこを助けてくれたのが幸運の竜・ファルコンだった。ついでに南のお告げ所の近くまで連れてきてくれて実にラッキー。門番や魔法の鏡など様々な場所に赴くのだが、無を止める方法はなく、アトレーユの努力もむなしく世界は崩壊を迎えるのであった。

 

「さて、賢者モーラから『南のお告げ所に行ってみるといいよ』と言われて、アトレーユはそこに向かうことにしました

「めちゃくちゃでかい亀で無駄に話を引き伸ばしてたのでこのシーンはけっこうだるかったですね」

「何回もばかでかいくしゃみしてその度アトレーユが吹っ飛んでましたが、3〜4回続けられると『もうエエわ!』ってなる」

「それにしても、この辺りからところどころバスチアンの声にファンタージェンの方に届き始めてるのがいいですね

「おっしゃるとおり」

「でも…南のお告げ所に行くのはいいけど、馬が沈んじゃって移動手段が無いような…

「無いですね…空でも飛ばないと間に合わないかもしれません…

「空を飛んで移動するようなもの、さすがにファンタージェンには無いか…だったら最初っから使ってますもんね」

「はてさて…」

 

「あ〜!沼に沈んじゃう〜!馬の二の舞に〜!」

「うわ〜終わりだ〜〜〜〜!!」

 

パンパカパーン

 

よっしゃあ〜〜〜〜〜ファルコンや〜〜〜!!!

くぅ〜〜〜〜!ここで来てくれたか〜〜〜〜!!!

「『まあそうだろうな』って感じでずっとわざとらしく喋ってましたけど、やっぱりココって時に助けてくれるのは最高ですね」

「半分ぐらい経過してて、まだアトレーユ何もしてませんがね…」

 

「バスチアンくんも一安心」

「我々は半分茶化しながら見てましたけど、彼はほんとに良かったと思ってますね。読書の才能がある」

 

「でもファルコンよくよく見たらかなり質感がきしょいですね…」

「ウロコの薄ピンクが生々しいし、顔もよく見たらお世辞にもあまりかわいいとは言えないかもしれませんね」

「当時はこのデカさと豊かな表情がやっぱりインパクト大だったんですよね。でもなんで最初から助けてくれなかったんだろ。無がやってくるとあっちゃ〜ファルコンも大変でしょうに」

「めちゃくちゃ良いとこで出てきてひと盛り上がり作るためかも」

「そして、鍵となる南のお告げ所まで連れてってくれたんですが、どうやら入るには門番に認められないと行けないみたいです

 

このスフィンクスに少しでも恐怖心を感じ取られたら目が開き、そこから放たれるビームで一撃で死ぬ…。何故か直前にそれを説明してくれるかのように勇敢な騎士が通ろうとして、死ぬのを目の当たりにしてしまいました」

「ギミックの説明のために死んでくれるなんて優しい人だな」

「でもこれ、アトレーユほどの勇敢な戦士だったら恐怖を感じずにすぐ通れるでしょうね

「どうだったかしら。まあ通れるのは通れるんですけど…」

「全く収穫無く1週間も放浪してるのに平然としてるのが何よりの証拠です!」

 

ゴゴゴゴゴ…

 

「開いちゃった…」

「さっきの騎士の死体を見て、さすがに怖気づいちゃったのかな」

「でもバスチアンの『走れ!アトレーユ!走れ!』という声に、走り出した!」

 

ズドーン!!

 

アトレーユ「通り抜けた…」

 

「通り抜けれるんかい」

「最初からめっちゃダッシュで走ればクリアできるってことなの?…この門番の存在は一体なんなんだ…」

「この時代の映画に細かい指摘は無粋ですよ!…そしてお告げ所に行く前に、次の関門として『映るものの本当の姿をあらわにする』というまほうのカガミ!ここに映し出されるものは恐ろしすぎるがゆえに、みんな逃げ出してしまうそうです」

「これ、別に無視して通れますね」

 

「そしてここに映ったものは、他でもないバスチアンだった…!」

「バスチアンも自分が映るとは思ってもなかったから、かなり動揺してますね」

ついにお互いに目が合うという、かなりドラマティックなシーンなんですよ!

 

「そして、ようやくやって来たお告げ所で、ついに女王の病気を治す方法を教えてくれました

『女王に新しい名前をつける』『その名前は、人間の子どもにしかつけることができない』とは…」

「アトレーユはファンタージェンの住民で人間ではないみたいなので、ここで言う人間とは…」

「バスチアン…。そして、新しい名前…。分かった!!!これ、死んだお母さんの名前をつけるってことじゃないですか!?

「なるほど!バスチアンは母親と死別して寂しい思いをしているし、求めているものは母親の暖かさ…!」

「そしてファンタージェンは救われる、キレイにまとまりそうだ…」

「キレイにまとまると思いますよね?」

「え?」

 

 

なんと、人間の子どもの居場所も分からないまま、ファンタージェンは崩壊します

「そんなバカな…」

「『ファンタージェンは人間の想像によって生み出されたもの』『人間が夢や希望を失ったから崩壊した』ということが判明して、アトレーユが無の使いと対抗するも、そのまま崩壊しちゃいました」

「ここからバスチアンが助けてくれるんじゃないんかいっ!」

「アトレーユも、ずっと孤独に旅を続けて馬も何もかも失った上に崩壊を防ぐためのまともな対策も全く打てずにただただ崩壊を許してしまうのもかなり不憫なキャラクターですね」

「『ネバー・エンディング・ストーリー』って、見る前に想像する“勇者がドラゴンを倒すようなファンタジックさ”とはかけ離れてて、明確な敵もいないし、現実世界と交錯しながら暗い展開が続くんですよね。それが当時は新しかったのかも」

 

 

■「ネバーエンディング・ストーリー」あらすじ・結

あえなくファンタージェンが崩壊し、世界は暗闇に包まれた。かろうじて浮いていた象牙の塔に戻ると、そこには美しい女王様が。そして明らかに読んでいるバスチアンに向けて「私に新しい名前をつけて。そうすれば世界は再生される」と語りかけてくる。え〜。ワテが!?そんな事できないよ〜〜〜と右往左往していたのが、バスチアンは意を決して女王に新しい名前をつける。果たしてその名前とは…?

 

「さて、いよいよファンタージェンはぶっ壊れてしまいましたが、無の空間に浮いていた象牙の塔に戻ると、アトレーユはついに女王と対面します

「病に伏せて最初は会わせてくれなかったですからね。それにしても塔だけふわふわ浮いてるのは都合よし」

 

「でたっ!」

「うわっカワイ〜〜〜〜〜。美男美女揃いぶみですね」

「この女王の名前は原語だと『Die Kindliche Kaiserin(子どもっぽい皇后)』的な意味合いなんですけど、これを『幼ごころの君』と訳したのはマジですごいと思います」

「ほんとですね。絶対思いつかない。これ以上無いし、これしか考えられない…美しすぎる…」

「そんな幼ごころの君が言うには、『アトレーユが冒険する姿を見て、引きつけられた人間をこの塔に連れてくることに成功した』とのことです」

「アトレーユからしてみたらイミフですよね。ずっと孤独だったし」

「でも、この本を読んでくれる人間がいる限り、アトレーユは一人では無かったってことですね」

「その人間こそが、この本を読んでいるバスチアン…」

 

バスチアン「でもただの物語だよ 現実じゃない!」

 

「こうなってくると、バスチアンももう本と会話しちゃってますね」

そして幼ごころの君の『名前をつけて!ファンタージェンを救って!』という声に、ついに応えます!

お母さんの名前!!これしかないっっっ!!!!!

 

 

 

 

バスチアン「ムーン・チャイルド〜〜〜〜!!」

 

 

 

「は?」

 

「………」

「………マジでどういう意味ですか!?俺がなんか重要なシーン見逃してただけ!?」

「死んだお母さんの名前つけるのが一番しっくり来ませんか!?!?」

「そうですね…………」

「いきなりムーン・チャイルドってなるの全然意味分からないんですが!?!?」

「擁護したいとこなんですが、こればっかりはポカーンってなっちゃいました。原作では何か理由があるのかな……読んだことある人がいたら教えてください」

 

※原作はこちら

 

「そしてこの結果、バスチアンが願い事をいえば新しいファンタージェンが生まれて、願い事が多ければ多いほど、生み出される世界が豊かになることを告げられます」

「なるほど、バスチアンの豊かな想像力で、ファンタージェンを再生させるという終わり方なんですね」

「文字情報だけであそこまで没入できるバスチアンならたやすいことですね。そして最初の願い事は…?」

「まあまずはファンタージェンの人々が暮らしやすいように経済とか社会の仕組みを組み込んだ方がいいかもしれないですね。そしてみんなに雇用のチャンスを与えて…」

バスチアンの願い事は…」

 

ファルコンに乗ったまま現実世界に突撃して…

 

いじめっ子を懲らしめる!!!!!

「なんじゃそれ」

 

「完」

「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

「最初に言ったじゃないですか!『想像してるファンタジー映画を思い描いてると、割と肩透かしを食らうかもしれない』って!」

「何だよこの終わり方〜」

「原作小説だと、ここまでが前半で、後半は新たに再建したファンタージェンでバスチアンとアトレーユが何やかんやするらしいです」

「続編作るかどうか分からない状態だったからいったん変な終わらせ方したんですかね」

「監督のウォルフガング・ペーターゼンは映画化にあたって大幅かつ無断で脚本を変えちゃって、原作者のミヒャエル・エンデとかなり揉めたそうです」

「原作者からしてみたらこの終わり方なんだよって感じになりそうですしね」

「結局どうでした?」

「映画を見るとできるだけ良いところを見つけて褒めることにしてるんですけど……これは評価が難しいですね。勇者の成長描くわけでもなく、バスチアンの純粋な願いによって世界が救済されるのを描くわけでもなく……」

「まあ思ったのと違うなっていう感想も、それはそれでアリかと思います! 一応、当時リアルタイムで見た世代としてフォローすると、この映画ってとにかく映像がすごかったんですよ」

「80年代にこの映像見せられたら、確かにすごかったでしょうね」

「見たこともない映像美で描かれた世界……まるで本当にそこに存在してるかのようなリアルなキャラクター……暗い物語と、現実と交錯するという手法……なんというか、『新しい時代のファンタジー』って感じだったんですよね」

「なるほど、その当時ならではの受け取り方もあったと。でも『ムーン・チャイルド事件』は……」

「それは……まあ……」

 

 

THE END

 

 

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