「さいきん調子どう?」「いやあ、ぼちぼちかな」

そんな会話もなかなかしづらくなってしまった今日このごろ。ジモコロ編集部としても、地方出張や対面取材が難しくなり、テレビや新聞のニュースやSNSを見て、心をざわつかせるばかりの日々が続いています。

 

地方取材の多いジモコロは、ローカルの小さなお店にとってもお世話になってきました。この5月で丸5年を迎えるジモコロの歴史は、ローカルのお店抜きには語れません。

いちウェブメディアとして、『彼らを救う』なんて大それたことはなかなか言えない。でも、せめてローカルのお店の声を集めて、リアルな状況や対策を可視化することはできるんじゃないか? 

そこから、困っている別のお店にとってのヒントや、ゆるやかな連帯のようなものが生まれるんじゃないか?

 

そんなふうに考えて、「みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜」というシリーズ連載を始めます。

できるだけ全国まんべんなく、いろんな業種のお店の声を紹介していきたいと思っています。

 

それでは……

みんな〜〜〜!!! そっちはどうだい???

 

 

【今回、紹介するお店】

・IL LAGO(京都/飲食店)

・ALL YOURS(東京/アパレル)

・やわい屋(岐阜/民藝と本の店)

・ Backpackers’ Japan(東京・京都/宿泊業)

 

【京都】IL LAGO(イルラーゴ)

IL LAGO 堀田 樹さん

業種:飲食業(イタリアンバル)
所在地:京都府京都市中京区恵美須町534−29
営業状況:休業中(テイクアウトのみ営業)
SNS:Instagram

■お店の現状と、今後の展望

10年続いていたお店を引き継がせていただき、名前を変えて2017年にオープンしました。夜はイタリアン、週末限定のランチは鴨肉を100%使ったハンバーガーが人気です。

軽く1杯飲みに来る方や、がっつり食事とワインを楽しみに来られる方など、たくさんの方にお越しいただいています。
イタリアン好き、ワイン好き、ビール好き……とにかく呑べえが集まるお店として2年半営業してきました。

 
 
 
 
 
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京都ではここ数日で休業する店が急増しています。実際、人気店もかなりお客さんが少ない状況のようです。テイクアウトに絞って営業するお店も増えてきています。

IL LAGOとしては今はコロナの感染拡大を懸念し、4/5から通常営業は休止していますが、店頭とUber Eatsでテイクアウト販売のみを開始しています!

 

【東京】ALL YOURS

ALL YOURS 木村まさしさん

業種:小売業・アパレル
所在地:東京都世田谷区池尻2-15-8
営業状況:休業中
HP:https://store.allyours.jp/

■お店の現状

非常事態宣言の前の3/26からお客さまとスタッフの健康面を考え、自主的に店舗を休業しています。

元々リアル店舗の諸リスクを考え、新型コロナウィルスで課題が顕在化する前(2019年9月くらい)からオンライン決済の比率を高めてきたのですが、消費マインドが減退してきているのか、売り上げ自体は減少してきています。

■新たな取り組み

社会に対して貢献できることは?と発想を変え、マスクの販売を開始しました。

また、オールユアーズは「インターネット時代のワークウェア」というコンセプトのもと商品開発をしています。仕事着と普段着の境目がなくなっていくリモートワークに対してぴったりな商材ですので「リモートワーク応援プラン」でのリモートワーク環境での服の訴求や「自宅で試着できるサービス」でお店にこなくても製品が体験できる環境を作り、「オンライン接客」サービスで対面接客を代替するチャレンジをしています。

 

【岐阜】やわい屋

やわい屋 朝倉圭一さん

業種:小売業(民藝屋・新古書店)
所在地:岐阜県高山市国府町宇津江1372−2
営業状況:休業中
HP:https://yawaiya.amebaownd.com/

■お店の現状

観光地から離れた山あいでひっそりと営んでいるお店なので、インバウンド観光の影響は元々ありませんでした。その為、4月に入り事態が深刻化するまで売り上げの大きな低下はありませんでした。


移動に心理的な制約がかかるようになった3月末頃からは事態が一転して他府県からの来客が激減しました。それに伴い感染拡大に寄与するリスクを下げる為、完全予約制の営業へ移行したところ、ありがたいことにお客様の多くが不要不急を避けて自粛してくださっているようで、ご利用はほとんどなく実質的には休業状態となっておりました。その後、全国での緊急事態宣言を受けて、4/18から実店舗は完全休業しております。売り上げは昨年同月の10%程度になりました。

ありがたいことに、扱っているものが器や生活道具と言った腐らないものばかりですので、ネット販売の準備を順次始めております。先立って昨年から準備をしてきたペンダントライト専門のECサイトを立ち上げました。

ECサイト→https://www.yawaiya.com/

 

・今後の展望

小さな自宅兼店舗を家族で営んできましたので、金銭的な意味での逼迫感は今はほとんどありません。食べるものは近くにありますし、水も湧いているので心配はごくごく小さいです。蓄えはありませんがそもそもスケールが小さいですので必要量も少ないということに救われました。

これまでも、戦後の経済の在り方に疑問を感じ、やがてくる様々な限界についてこの場所から思案し続けてきていたので、今回の事態もいよいよ来たか。という心持ちです。

 

これまでもこれまでと同様に、いたずらに大きくなることを避け、等身大で歩んで行くだけだと思います。その為に必要となる様々な思索をこの場所から発信していく準備がもうすぐ整いますので、厄災が過ぎた頃に是非遊びにいらしてください。

皆様の身心のご健康をお祈りすると共に、この場所で笑いながらお話をできる日を心待ちにしております。

 

【東京・京都】 Backpackers’ Japan

Backpackers’ Japan 石崎嵩人さん

業種:宿泊業(ゲストハウスtoco. / Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE / Len 京都河原町 / CITAN)
所在地:東京台東区蔵前2-14-13(Nui.)
営業状況:休業中
HP:https://backpackersjapan.co.jp/nuihostel/

 

■お店の現状

「ゲストハウスtoco.」「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」「Len京都河原町」「CITAN」のゲストハウス、ホステルを4軒運営しています。各店カフェやバーを併設しており、海外から宿泊客を迎えつつ、町に住む人たちのカフェ利用やバー利用でラウンジが賑わうのが通常の景色です。

例年、3月から宿泊の稼働が上がり4月の稼働率は90%ほどありますが、今年は2月中頃から宿泊予約のキャンセルが増え始め、3月の宿泊稼働率が各店10〜20%ほど。4月は10%を切っており、その予約もキャンセルになる可能性が高いと判断。感染拡大の懸念や、スタッフや周囲の方への健康を鑑み、緊急事態宣言前の4月頭より全営業を停止することを決定しました。

 

カフェやバーも休業直前まで開けていましたが外出自粛の影響もあり売り上げはわずか。現在は銀行や政策金融公庫からの追加融資を進めています。また、応援の声に応えるためECサイトでチケット販売をはじめました。

・今後の展望

今後はいまの状況が収束したときのために国内での人の移動に応えられる施設づくりをするとともに、ホステルの空間を活かした新しい活用の方法を模索中。同時に、新型コロナウイルスの収束しなくとも活動が可能なかたちへの業態変更、また新規事業立案も視野にいれ話し合いを進めます。

 

みなさんの現状もお待ちしています

「みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜」では引き続き記事を公開していきます。

記事を読んだ皆さんも、SNSで「#そっちはどうだい」のハッシュタグをつけて、現状を報告していただけるとうれしいです。

先の見えない、大変な状況だと思います。みんなで現状や取り組みをシェアして、少しでも前向きに日々を過ごしていきましょう。いつかまた、笑って会える日を信じて。

OGPイラスト:小松佑